なぜ、財務戦略は、経営者の考える作戦で、社員の考える作戦ではないのでしょう?
一億円を、銀行から借りるのが、一般的な社員の役割ではないからです。
毎月、一定額が振り込まれる給料とは異なり、売上金は、一定ではありませんから、足りない時もあります。
そんな時、銀行からお金を借りる責任者は、会社の代表者である経営者です。
借りた資金を返せなくて、首をくくるのも、社員ではなく、経営者です。
なので、財務戦略は、従業員の考える作戦ではなく、経営者が考える作戦です。
その作戦に、従業員が、建設的な意見を具申するのは結構なことですが、異を唱えるのは越権行為ですから、たとえば、
「給料が安い。増やしてくれ」
と、経営者の財務戦略を否定し、昇給を要求するのであれば、
1 昇給のための資金を自力で銀行から借りてきて会社へ融通するか(投資家や株主として経営に加わるか)
2 転職するか(転職する自由が、従業員には、あります)
3 ご自分の職掌の範囲で、利益を高め、給料が増えて当然にするか?
いずれか?です。
三つ目が、経営者でなくても、経営意識を持つということです。
それ(企業価値の向上)に協力するのが、社員(法人の一員)ですし、協力する必要など無いのが、生活費のために働くパートやアルバイト(非正規)です。
ボクサーや役者になるといった夢を叶えるまでの生活費のために働いているアルバイト、および、貯金や生活費を増やそうと働くパートは、自分の為に働く自由がある代りに、保険や年金といった雇用コスト(福利厚生という第二の給与)が発生しませんし、雇用契約の解除も可能です。
一方の社員には、給料の他に、いろいろな雇用リスクが伴いますし、労働基準法で厚く守られています(解雇四要件により解雇できません。一方の経営者は株主が解雇できます)から、社員と経営者の役割は同じであるわけがなく、もしも、社員でありながら、会社の維持や成長に協力したくなければ、アルバイトやパートとして雇用契約し直せばいいだけの話です。
ちなみに、派遣社員も、実質はパートやアルバイトと同じです。社員という言葉のマジックに惑わされぬよう。
人を育てるのが経営者で、プロを育てるのがリーダー
三大経営資源であるヒト・モノ・カネのうちの、カネです。
資金さえあれば、売上や利益が無くても経営し続けられますから、売上よりも、
利益よりも、資金が第一で、資金が第一だからこそ、社外の銀行や、株主が、経営に参画してきます。
しかし、借りる(出資してもらう)だけで経営は成り立ちませんし、貸す(出資する)側にしても、利子(配当)という利益が目的ですから、
「これくらい儲けるつもり」
と見込んだ利益を稼ぎ出し、配分しなければなりません(営業外収益は別です)
借りられる企業は幸いです。いざというとき、融資してもらえますから、経営危機を乗り越えられます。
その時のために、借りる必要がなくても借りて、利子を払い続け、信用を得ておき、経営が悪化した時に、借りられるよう備えている企業も多々あります。
リーマンショックのように、いつ、どこで、どんな災難が降りかかってくるかわかりませんからね。
しかし、借りる当てがなければ(借りる当てがあっても)、商品を売って利益を稼ぎ出さなければなりません。商取引が企業活動ですから。
商品、つまり、ヒト・モノ・カネのうちの、モノですね。
メーカーなら、製品のみならず、資材や倉庫や工場の設備もモノに入りますし、非メーカーなら、社屋や、車両や、十万円以上の什器備品までモノに入ります。
カネとモノがあっても、ヒトがいなければ、企業活動できませんから、たとえ社長一人であっても、ヒトが必要不可欠です。
人が必要不可欠とはいえ、誰でも良いわけではありません。どこの企業も優秀な人材が欲しい。
しかし、自己投資に惜しみない優秀な人材は、待遇の良い大企業へ就職してしまいます。
その土地に就職したいから等の理由なくして、安月給では、優秀な人材を確保できるはずがありません。
そうなると、育てる他ありません。
育てるには、世に様々なセミナーや研修は溢れていますが、経営者のポリシーと、企業のポリシーを示し、信頼の拠りどころを見せてあげましょ
行動理念の実例をもとにした物語
理念とは考え方のことです(辞書を引いてみて下さい)
経営理念は、経営者の考え方ですから、経営者の言葉になります。
一方、企業理念は、法人としての考え方ですから、経営理念をもとに会社全体で(企業体として)作ります。
十代の常識と、五十代の意識は、親子ほどに違いますので、
「これくらい、わかるだろう」
という思い込みに囚われずに、理解できるかどうか、守れるかどうか、すべての年代の従業員に聞きながら作るとよいでしょう。
目に見えない法人の人格を言葉にして、キャラ立ちさせると、社の個性が際立ち、ライバルとの差別化になり、社会や、まだ取引の無い新規客に信用してもらえて、既存客からの信用も増し、顧客を増やせます。
企業の理念の中には、
・行動の理念
・価値観の理念
・理念の可視化
があります。その中から、行動の理念について、物語を一つ挙げましょう。
まるで初心者が運転しているようにトロトロ走るスポーツカーの後ろを、運送会社のトラックが走っていました。
スポーツカーのハンドルを握っているのは、女性でした。トラックの運転手は、若い男性ドライバーでした。
トラック運転手は、
「女の運転はヘタだな。それに、若いクセして、こんな高級車に乗りやがって」
と、つい、イラッとして、クラクションを鳴らし、幅よせ(いやがらせ)して、抜き去っていきました。
後日……
運送会社の社長あてに、暴力団の組長から、電話が入りました。
スポーツカーの女性ドライバーは、組長の妻でした。トラックの車体に書かれてある運送会社名を覚えていて、夫(組長)へ話したようです。
社長は、すぐさま、すべての予定をキャンセルし、組事務所へ謝りに行き、たっぷりと、人の道を聞かされて帰ってきました。
帰社するやいなや、顧客満足に価値を置いて経営している社長は、(筆者へ相談して)行動理念を作り、社内へ発表しました。
行動基準…他車優先・歩行者最優先
行動指針…模範ドライバーたれ
行動規範…歩行者や、他の車に、迷惑をかけるな。
歩行者がいる横断歩道では停車。
むやみにクラクションを鳴らすな。
幅寄せするな。
ダッシュボードに足を乗せるな。
運転席で寝るな。
弁当を食べるな。
タバコを吸うな。
お客様は、どこかで見ている。
それ以来、この運送会社は、地元警察から表彰される優秀なドライバーの集団になりました。
理念は、危機管理にも、社の名誉にもなる実例です。
