お客様という数字がない営業戦略
営業活動の目的は、売上金額という企業もあります。粗利率が目的だと言い切る営業マンもいました。お金ですね?
もちろん、生活するには、お金が必要ですから、給料を目的に働くのは当然ですし、経営するには、資金が必要ですから、資金を借りるか、稼ぐしかありません。
稼ぐために、商品を販売しています。
お金だけが目当てで営業戦略
ところが、お金が目的になると、お客さんから、お金を受け取ったら、もう、お客さんに用はありませんから、既存客(OB客)へフォローしなくなりがち。
カネの切れ目が、縁の切れ目になる営業戦略です。
給料のみ目的となると、さらに年収の高い会社があれば、去っていく社員だって入社してきます。
そうなると、何百万円、何千万円の社員教育費や、募集広告費が無駄になります。
かくいう経営者も、資金(お金)がほしいので、
- 経営者「売上を増やせ」
- 営業部長「商品を売ってこい」
- 営業社員「商品を買って下さい」
と、全社を挙げて、売上(お金)ほしさに、商品を売ります。
売上目的になると、営業活動の目標値は、
- 売上
- 利益
- 粗利
- 単価
- 数量
- 件数
- 納期
になり、お客様という数字は、存在しなくなります。これぞ、顧客満足が、絵に描いた餅になりやすいカラクリ。
営業活動の目標値に、お客様という数字が存在せず、どうして、顧客満足を実現できましょう?
売りこまない営業が難しいのは、経営者や営業部長が「売れ!」と命じるから
です。さらに、契約が早ければ早いほど、早く入金されますから、
- 昨日「今、売れ!もっと売れ」
- 今日「今、売れ!もっと売れ」
- 明日「今、売れ!もっと売れ」
と、今日明日にでも契約しようと、売り込んでは嫌われます。
売りこまない営業が難しいのは、経営者や営業幹部が「すぐ売れ!」と命じるからです。
待つのも営業戦略
それが間違っているのではありません。月末までに、必要な現金が足りない経営者の心労は、痛いほど分かります。
- 「従業員へ、支払う給料が、足りない」
- 「仕入先へ、支払う代金が、足りない」
- 「手形が、不渡りになりそうだ」
そんな時は、銀行強盗してでも、現金を手に入れたいでしょう。その気持ちは分かりますが、売り込むだけが営業活動ではありません、待つの「も」営業戦略です。
順調な経営であっても、企業は営利追及団体ですから、建築を売るのは当然ですし、売上がなければ、企業活動し続けられませんから、
「売上目標○○円を達成せよ」
と、お金の数字を追い、「新規客を増やせ」と激を飛ばすのも当然です。
最強の新規営業は、紹介
企業は、伸びれば伸びるほど、さらに資金が入用になりますので、新規客という名の、新しいお金が、もっともっと必要です。
ライバルを含めた殆どの企業が、そうであるように、みんな、お金ほしさに商売しています。
それはそれで構いませんが、では、最強の新規営業は、紹介であることが周知の事実なのに、どうして、「紹介者を増やせ」と命じないのでしょう?(紹介者は、お金を払ってくれないからですよね)
既存客(経験者)は、有力な紹介者たり得るのに、どうして、「既存客を増やせ」と命じないのでしょう?(代金を受け取り済みだからですよね)
やっぱり、お客さんよりも、売上(お金)優先ですか?
では、なぜ売り上げなければならないのでしょう?(あなたの答え_____)
その売上金は、誰から頂くのでしょう?
金の卵=財産だけ奪おうとする営業活動
いわずもがな、お金を払ってくれるのは、お客さんです。お客さんは、金の卵を産む、金の鳥です。
金の鳥を大切に育てずして、どうして、金の卵だけ手に入れられましょう?
金の鳥が、命の次に大切にしている金の卵=財産だけを奪おうとすると、金の鳥から嫌われます。
ほとんどの訪販営業は、それをやっています。(あなたの会社は?)
OB客を含めた既存客数を増やし、その中から優良顧客を増やす
これから、あなたが、お金さま優先ではなく、お客さま優先で経営するのであれば、売上や利益の意味を社員向けに翻訳して、
「新しいお客さんを紹介してくれるかも知れない疑似客を○○人増やせ」
と、お客さんの人数を追うのが正解ですし、
「既存顧客の流出を阻止せよ。ライバルに奪われるな」
と、顧客数を維持して、その中から優良顧客を増やすのが正解。
それでも、100件中1件以下(コンマ数%)の可能性に賭け、訪販員やセールスマンは、飛び込んでいます。
「営業マンは足で稼げ」ですね。
それが否定されるものではありません。それしか方法がなければ、嫌だろうが、何だろうが、やるしかありません。それしか方法がなければ……の話。
[完]