【はじめに】
この記事はユニクロおよびファーストリテイリング社とは無関係ですが、もし、ご迷惑がかかる表現があるとしたら、責は全て筆者にありますので、ご連絡いただければ修正または削除します。
ここから本編が始まります。クッキーの用意はお済みですか?
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CGDBD3K1/ref=emc_bcc_2_i/federal-22
衣料品の小売店だった小郡(おごおり)商事が、ユニクロへ名称を変更してから4年後の1995年、新聞紙上で、
ユニクロの悪口言って100万円
というキャンペーンを展開しました。キャンペーンといっても、期間限定の販促キャンペーンや、競合の落ち度を指摘するネガティブ・キャンペーンではなく、自らの落ち度を、お客様に指摘してもらう
奇想天外なマーケティング・リサーチ
でした。このキャンペーンで集まった10,000通が、こんにちのユニクロの原動力となった話は有名。
(100万円の賞金で10,000通の応募ですから、顧客意見ひとつあたり@100の低価格!但し、新聞広告費等の諸経費別)
このコンテストについて、ユニクロの柳井社長は、次のように振り返っています。
- 「応募のほとんどは、漠然と気づいていたことでした」
- 「しかし、実際に“ここが悪い”“こう直してほしい”といわれてみなければ実感できなかった」
- 「商品を改善するとき、どの商品の、どこが、どの程度悪いのかをつかむ必要がある」
- 「その上で、出来ることと、できないことをはっきりさせることで、具体的に改善できた」
このように、クレームのほとんどは「漠然と気づいていた」暗黙知だったそうです。その暗黙知が、
- 「ここが悪い」と形式知になることによって
- 「どの商品の、どこが、どの程度悪いのか」をつかむことができ
- その上で「具体的に改善できた」
と柳井社長は語っています。みんな、何となく気づいている、
暗黙知を形式知
にして、具体的に改善したわけです。こうした顧客意見の重要性については、拙著「売り込むな!期待をくすぐれ」を読むまでもなく、顧客意見は、見えるはずのない、自分の背中を、見せてくれます。それを知ることによって、
抽象的だった問題点を具体的に
できます。具体的とは
- 誰が
- 何を
- なぜ
- いつ
- どこで
- 幾らで
- どうするか
という5W2Hに分解すること。しかし、現実に、企業は、
- クレームが、発生
- クレームは、担当者の落ち度
- 落ち度は、責任追求
という構図になることを嫌う傾向にあります。
原因解明ではなく、犯人捜し
ですね。それが顧客意見を遠ざける原因の一番目ですが、実際、定性情報は気が滅入ります。しかし、そのまま放置しておくわけにいきません。そんなときは、
クレームの活かし方
について知るといいでしょう。そうした本がたくさん出版されているようです。
さて、顧客の意見を聞かずに放っておく原因の二つ目は、
- 「それでナンボ儲かるんじゃい」
- 「儲からんことは、やらん」
- 「問題になったら対応すれば良い」
という危機意識の薄さに因ります。わかりやすくいうと、悪口を言われるのは、誰だってイヤ、聞きたくないということです。
しかし、ユニクロは、敢えてそれを行い、そこから得た情報を資源に成長しました。この事例をどう捉えるかは、それへ対するマネジメント層の意識次第。
悪事千里を走る
とは、よくいったもので、悪い噂ほど広まります。それが世の常。だから、クレームなら、頼まれなくても、思いつきますし、言えます。
もし、あなたが「顧客意見の集まりが悪い」とか「アンケートの回収率が悪い」と困っているようなら、
クレームを集めるほうが集まりやすい
でしょう。とてつもなく、気が滅入ると思いますが(苦笑)あとは、活かし方一つです。
[追記]
このページを御覧になった読者さんから時折、
「コンテストで、優勝したクレームは何でしたか?」
という質問を頂きますが、なにせ95年のこと、詳細は忘れてしまいました(苦笑)。確か、
「レジ待ちの列ができているのに、他の店員さんが手伝おうとせず、私語を交わしているのは許せない」
という類いだったと記憶しています。商品へのクレームではなく、スタッフに対するクレームだったんですねえ。
ユニクロを分析[1/3]お客様を切り捨てる?弱みを強みに活かす逆転の発想
https://0gasawara.blogspot.com/2010/04/uniqlo1.html
へ続く