訪問販売にはルールがあります
- 売買される全ての商品、サービスが、法規制の対象になる
- 訪問し、断られたら、もう、勧誘してはならない
- ドアを開けるように訪販員は要求できない
(特定商取引法/消費者庁ホームページより抜粋)https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorsales/
1.どんな商材であっても訪販は訪販
BtoC(対消費者取引)の代表格ともいえる訪問販売。
訪販ではありませんが、新聞、生協、保険も、飛び込み営業で、ピンポーンと、個人宅へ訪います。
ほとんどのBtoC営業は、一生懸命、足を棒にして、営業活動していますが、
中には、断られて、逆切れする訪販員がいますので、ひと握りの不届き者のせいで、全体が規制されてしまうのは、世の常。
たとえば、友人の実体験ながら、
広告で見かける有名企業の訪問販売員
が来て、インターホンで対応に出た奥様が、
- 「いりません」とインターホンを切っても、また、ピンポーン!
- 「何ですか?」
- 「売込みじゃありませんので、ドアを開けてもらえませんか?」
と、あまりにしつこいので、助けを求められた友人男性が、玄関を開けて対応に出、
- 「断っているのに、売り込むのは、特定商取引法に違反するよ?」
- 「いえ、売り込みではありません」
- 「通報されたいの?社名と氏名を教えてくれる?」
- 「いや、この地区の担当になったので、ご挨拶に伺っているだけです」
- 「わかりました。承りましたので、帰ってくれる?」
- 「挨拶しているだけなのに、失礼じゃありませんか?」
- 「だって、何か売りこみに来たんでしょ?お金なら、払わないよ」
- 「お金とか、そういうんじゃなくて」
- 「じゃあ、何?」
- 「ですから、挨拶で」
- 「カネ以外が目的でピンポンするのは、郵便か、宅配便くらいでしょ?」
- 「わかりました!もう結構です!!」
と逆切れして去っていきました(驚)
これくらい、東京では珍しくありませんから、訪問販売と名乗っただけで、警戒されます。なんと、
勝手にドアを開けて入ってくる
勧誘員もいます。筆者の実体験ですが、かれこれ数十年前、まだエアコンが無かった学生の頃、真夏、あまりの暑さに耐えきれず、生まれたままの姿で、四畳半一間のアパートの部屋で、大の字になっていると、コンコンと、べニア板のドアをノックする音。
あまりの暑さに返事する気さえなく、ぐったりしていると、勝手に、ガチャッとドアを開けた私服(サングラス)の男性。
そこに、全裸で大の字になっている若き日の筆者を見て、たじろぎ、しぼりだすように一言、
- 「し、新聞、要らない?」
- 「要らない」
- 「あ、そ」
と静かにドアを閉めて(大笑)帰っていきました。何がいいたいかというと、要するに、商材は違えど、訪販される側は、
何度も、別な商品やサービスで、いやな思いを体験
していて、その経験の積み重ねにより、訪問販売というだけで、どんな商材であれ、警戒されてしまいますよ~ということです。
BtoB(企業間取引)セールスならば、そうとは限りません(留守はありません)が、こうした現実を踏まえて、訪販員なり、営業職に就かなければ、営業に向いた人※以外、神経が参ってしまうでしょう。
※営業職に向いた人(営業職人)…営業の才能と、適正と、勘と、根性と、経験がある天性の人
2.なぜ、訪問販売は嫌われるのか?
訪問販売は、なぜ嫌われるのでしょう?答えはカンタン。見ず知らずの人へ、いきなり、「買って」と、利害関係を迫るからです。
想像してみて下さい。道を歩いていて、すれ違った人に「これ、買ってよ」と言われたら、買います?買うどころか、気味が悪いですよね?
そりゃ確かに、「○○を買いたい。しかし、探しても、買えない」と、その商品を買おうと探している人には、利害関係のみでも売れます。買いたがっている人には、ポンポン売れるでしょう。
しかし、現実には、百件飛び込んで、
という商品があります?ちょっと探してみて下さい。
- 浄水器
- 健康食品
- ソーラーシステム
- 化粧品
- 学習教材
- 害虫駆除
- 衣料品
- 寝具
- かつら
- 住宅設備品
- 住宅リフォーム
- 清掃用具
- 下着
- ミシン
- 学習塾
- 語学教室
- 調理器具
- オール電化
- 健康機器
- 台所用品
- 美容器具
- 呉服
- 金融機関
- 貴金属
- 新聞
- 自動車
- ケーブルテレビ
- ネット回線
- IP電話
- 注文住宅
- 生協
- 保険
- その他にも沢山あります
が、どの商品も、
たまに買うかどうかの商品
ですよね?ただでさえ、ポンポン売れる商品じゃありません。さらに、購入を検討し始める時にインターネットで検索すれば、沢山の情報を得られ、沢山の中から比較できます。是この通り、
訪販で買わなければならない商品
は一切ありません。一方の売る側にしてみれば、365日24時間自分が売っている商品を売りたい。売れれば、お金が入ってきますものね。だから、売ろうとする(利害関係を迫る)
それが企業活動ですから、当たり前っちゃ当たり前です。何も悪くありません。
ところが、売り込まれる側は、これほど沢山の訪販から、何度も訪問を受けてきました。珍味(チーズ鱈)を売り込まれた経験はなくても、
新聞の訪販は経験済み
です。しかも何十回となく。
つまり、売る側にしてみれば、初めての訪問であっても、売り込まれる側にしてみれば、「ま~た訪販か」と警戒して当然。
その警戒を解くために、うそに近いセールストークを弄し、ますます嫌われるという無限ループに陥ります。
3.第一印象は初会の数秒で決ま刷り込まれる初頭効果
嫌われてしまったら、さあ大変。第一印象を覆すのは、容易ではありません。第一印象は初会の数秒で決まり、その第一印象は
強く刷り込まれ(初頭効果)
修復と改善には、長い時間と労力を要します。脚本風にすれば、
- (チャイムの音)ピンポーン
- 「はい?」(誰だろう?)
- 「わたくし○○株式会社の××と申しまして」3秒間
- 「はぁ…」(何しに来た?)
- 「本日は、商品△△のご案内に参りました」4秒
- 「いりません!」(迷惑なやつ)
こうして、10秒でセールス終了。ちなみに、
迷惑なやつという最後の印象も強く残ります(親近効果)
ので、次また訪問すれば「また来たか!」と通報され、特商法違反で罰則(業務停止命令等)を課される危険性がありますし、そもそも、飛び込むたびに嫌われていては、売りこむ先が無くなってしまいます。
競合他社も(悪質訪販さえも)同じスタイルで営業
していますから、「またまたまたまたドコかの訪問販売が来やがった」ってナもんです。
これでは、飛び込み訪問の効果が薄いのも頷けます。その繰り返しで、「今日も売れなかった。パチンコして遊んでいたのと同然だ」とガックリうなだれて帰ることになります。
いえいえ、飛び込み訪販が非効率なのではありません。
突然の売り込みが非効率
なのです。反対に、買いたがっているお客さんへ、売り込まなければ不親切です。
では、どうしたら良いかというと、答えは単純で、嫌われないことです。嫌われるくらいなら、訪問しないほうがマシです。嫌われないようにするには、売り込まないことです。もちろん、ウソは厳禁。
4.売っているものは有形であっても営業活動は無形
くつろいでいる自宅へ、突然に訪問して、初対面にもかかわらず、「○○を売ってます。買いませんか?」と、利害関係を迫るから、嫌われるのであって、利害関係を迫らなければいいだけです。AIDAの法則の通り。
ちょっと、お客さんの立場になって考えてみましょう。お客さんは、商品に、お金を払いたいのでしょうか?違いますよね?
商品で○○したいんだ
ということです。○○に入るのが、お客さんそれぞれの価値ですから、まずは、既存客(OB客)へ、アンケート(顧客満足度調査)を行って、〇〇を集めて下さい。
A.アンケート
アンケートというと、「アンケートなんかやったって、どうせ、ダメ」とハナから諦めてしまいがちですが、投げやりで取り組むものが、うまくいくはずありませんし、ひと口にアンケートといっても、よくありがちな無味乾燥なアンケートではうまくいきませんよ?コツがあります(ここでは細かい戦法は割愛します)。そして、
B.履歴書
も一緒に渡すだけで、新規の営業になります。営業活動は七段階に分かれ、その第一段階が「知らせること」だからです。
ちなみに、売ること(契約すること。販売)は六段階目になります。
売ることだけが営業活動ではありません。履歴書といっても、面接で使用する市販の履歴書じゃありませんよ?(そんなもの渡されたら誰だってギョッとしますって)
必ず、写真を多用して、大きな文字で情報を満載し、何者か伝えて、安心してもらって下さい。
疑似客は「この人、誰だろう?」と不安に思っていますから(極端かつ尾籠な例で恐縮ですが)ケツの毛まで見せるくらい開示して下さい。
これは、だまそうとしている(自分の素性を知られたくない)悪質業者には、できない技です。
履歴書を渡すことによって、正々堂々と、ご自分の人となりを売ることができます。地縁が強ければ、「どのように役に立てるか」を書いた紙一枚と、
C.粗品
を添えて下さい。結婚して下さいのプロポーズと同じように、まずは気に入れらるところから始めましょう。以上A~C3つの戦術で、あなたの営業成績は向上します。
最後に、売っている商品に、形や色はありますが、
- 訪問販売活動には、形も、色も、匂いもなく、壊れません = 無形です
- 訪問販売活動は、無形財ですから、生産できません
- 訪問販売活動は、無形財ですから、在庫できません
- 訪問販売活動のみ販売することはできません
- どのように営業対応してくれるのか、フォローしてくれるのか、契約前に、体験できません
- 訪問販売活動は、365日24時間、均一ではなく、訪販員の体調や、気分によって変わります
- 訪販知識の習得によって変わりますので、一定の質を保つのは不可能です。
最後に、訪問販売という営業活動には、向き不向きがあります。もちろん、向く人のみ続きます。
では、ご健闘を祈ります。
[完]