万年赤字の町営スキー場
でした。それが、突如として、翌2006年に、一転して、黒字化。- 2007年も黒字
- 2008年も黒字
- 2009年に至っては、スキー場なのに、大晦日まで雪が無いという致命的な苦境にかかわらず、黒字
- 赤字を黒字へ転換し
- 五期連続して黒字化し
- 過去最高益を記録し
- 実績と経験が豊富な経営者ではなく、経営経験はゼロで、
- お歳を召した練熟者ではなく、30代前半で、
- 地元に精通しているどころか、7年前に東京から引越してきた
運営を任された翌年から万年赤字のスキー場は黒字化
しました。その会社の名前が、はぁとリソート。有限会社 はぁとリソートです。はぁとリソートという社名は、森下社長が、会社を設立する際にお考えになった社名=ネーミングです。事業は、スキー場とキャンプ場の運営。当初は、
有限会社 夢企画
にしようと考えていました。しかし、
- 夢企画は、よくありがち (実際に、Google検索すると、56,700件がヒット
- 七ヶ宿スキー場が提供する価値は、スキーではなく、和み(なごみ)
- 社名は価値をテーマにしたマーケティング・メッセージ。そこで…
- お客さんと「心(ハート)が通じ合うように」との願いを込め、更に…
- 「はぁ~」っと和む溜め息を合わせて“はぁと”
- 行楽地の英語 Resort(リゾート)から、響きの強い濁点「ゾ」を取り除き
- 濁点の無い滑らかさな音感に統一して
- 日常生活をソート(分類)し直す場所との意味で re-sort(リ・ソート)
- 以上の2つを繋ぎ合せ、日本語として呼びやすい文字数7文字にまとめた
10 姓名判断
までして決めました。この社名が「リゾートの間違いでは?」と訊ねられる度に「こうした意味があるんです」と説明しているそうです。じつは、相手のほうから
社名の由来を尋ねられるのはスゴイこと
です。実際、あなたの会社名の由来は「どういう意味ですか?」と訊ねられたことがありますか?こちらから率先して説明することはあっても、先に訊ねられることは滅多に無いはず。尋ねられるということは、会社案内できる絶好のチャンス。それも、興味を持って聴くスタンス
で尋ねられるため、- 覚えられやすく
- 記憶に残りやすく
- オリジナルな独自性と
- 日本で一つの唯一性がある
7文字の日本語の中に、5つの I
が含まれていることがわかります。- 「ほう」というインパクト(impact)があり、
- 興味を持たれ(interest)、
- 願いやコンセプト等の情報(information)が凝結した、
- 優れたアイディア(idea)の社名で、
- 印象(impression)に残ります。
ネーミングは、社名のみならず、商品名や、ブランド名にも必要不可欠。あなたの会社の名前を変えるよう勧めているのではなく、社名を変更するのが難しければ、NTT(日本電信電話株式会社)のような略称で良いから、考えてみては如何でしょう?ブランド名でもいいし、愛称でも構いません。なぜなら、名前は
最短のマーケティング・メッセージ
だからです。知名度の高い大企業なら勝てば官軍で何でもアリですが、小さなうち、特に創業前なら、覚えやすくて、印象に残る社名にするといいでしょう。少なくとも初対面で「公認会計士佐藤幸雄事務所」なる12文字の漢字を覚えられる人は少ないはず。翌日には忘れているはず(笑)
では、どのようにネーミングすれば良いのでしょうか?
ルールは、ありません
ので、好きな社名にネーミングすれば良いのです。もう、類似商号を調べなくても良くなりました。ルールは、ありませんが、マーケティングで常識的なネーミング方法は、- 商品や価値を表わしていること(ex:和む場所なので、はぁ~)
- 経営理念や創業理由などの意味がこめられていること
- (ルイヴィトンのような)ブランド力のある類似商号が有るか無いか?
- パピプペポ、ガギグゲゴ、ザジズゼゾ、ダヂヅデド、バビブベボの濁音の有無が与える音感
- 暖かさ、爽やかさ、強さ、優しさ、しなやかさ、重厚感といった感覚
の他に、 - ハッとさせるインパクトがあり(impact)
- 興味を持たれやすく(interest)
- いろいろな意味(information)がこめられ
- 初めて聴いた人の印象(impression)に残り
- それらを含めた優れたアイディア(idea)であることが基本。
以上の基本10項目に加え、 - 読みやすさ
- 言いやすさ
- 書きやすさ
ひらがなと、カタカナで構成されたネーミングであるため、間違えることがなく、スキー場に来る
小学生でも読みやすく、言いやすく、書きやすい
そうです。それに、わりと見逃されがちで、その度にストレスがかかる小さなことですが、わかりにくい社名にすると、領収書をもらう時に苦労
します。さらに、14.似た社名や、公共機関、有名企業等と紛らわしくなく
15.外国語に翻訳すると変な意味になるネーミングは避ける
たとえば、ヴィックス・ヴェポラップの「ヴィックス」をドイツ語でスラング訳すると、卑猥な意味になるそうです。
以上の15項目が、社名の付け方(ネーミング)です。
ここまでなら、マーケティングに携わる人なら知っているだろうし、書籍などにも書いてあります。いわば、テクニック論です。問題は、実際に作れるかどうか?です。作れるようになる秘訣があるとすれば、筆者の経験では、熟慮・熟考・熟成
の過程に時間をかけることです。歩いているときでも、入浴中でも、食事中でも、いつでも、そのことばかりを考えること。時間は、かかりますが、そののちに、閃きます。熟慮・熟考・熟成の過程で、筆者が最も重要視するのはinformation=情報。価値です。なぜなら、お客さんは、商品を買うのに代金を払うのではなく、お客様は価値を得るために代金を払う
からです。スキー場の運営だから、○○スキー株式会社ですと、確かに、王道のネーミングです。しかし、森下社長は、スキー場なのに、スキーを外し、和みという価値を社名に込めました。スキーを外すことで、夏のキャンプ場経営にも違和感のない社名になりました。商品名ではなく、価値を社名にすることで、事業に広がりが生まれるのです。また、- 「えっ?」と耳をそばだてる=インパクトと
- 「それ、どういう意味?」と尋ねられたときに=インタレスト
- 「ははぁ、そういう意味かあ」と印象に残る=インプレッション
information=情報(価値)
ですので、「社長の名前が森下だから、株式会社もりした」これはシングル・ミーニング。しかも、ありがち。これを、ダブル・ミーニング、トリプル・ミーニングにするのです。社名のみならず、どんなプランニングも、そうですが、まずは骨子を作ること。ネーミングの骨子にあたるのが価値であり、理念であり、夢であり、願いなどの「想い」です。社名や略称やブランド名や商品名は、社内外へ発信する
もっともコンパクトな、マーケティング・メッセージ
- 考え抜く(こだわりぬく)から、愛着が湧く
- 愛着が湧くから、大事にする
- 大事にするから、使い続ける
- 使い続けるから、語り継がれる
- 語り継がれる名前は、永遠の命を持つ