CISとCIとブランド
CIは、Corporate Identity(コーポレート・アイデンティティ)の略で、広辞苑によると、「会社の個性・目標の明確化と統一を図り、これを社内外に印象づけるための組織的活動」
のことだそうです。
要するに「企業のキャラ立ち」といったところでしょうか。CIは、70年代に始まり、80年代にブームとなって広まりました。
いくつか例示すると、
- 1972年、イトーヨーカドーは、ハトのマークをロゴに採用
- 1975年、ダイエーは、オレンジのマークをロゴに採用
- 1981年、トリオは、KENWOODをコーポレートブランドとし、現在のロゴタイプへ変更したのち、1986年に社名もケンウッドへ変更
- 1985年、アサヒビールは、CI導入を宣言
- 85~87年の民営化とともに電電公社(現NTT)、専売公社(現JT)、国鉄(現JR)がCIを導入
この頃から、ブランドという考え方も広まり、パナソニックのように、ブランド名を会社名にする企業も増えました。
これらの考え方からすると、
- 商品名 = ブランド名 = 社名 = 登記名
- ロゴマーク(やロゴタイプ)= 社章 = 商標
シャネルやグッチのような伝統に支えられたブランドを除いて、歯に衣着せずにブランドの本性を暴けば、説得したい相手を丸めこむ時に使える、使い勝手の良い、専門用語のような、たんなる英単語といっていいでしょう。
同じ英単語の「コンセプト」に似ています。
ブランドの起源と本来の意味
brand(ブランド)を直訳すると、- 銘柄、商標
- 特定種、特定区分
- 家畜に押した焼印
- 罪人や奴隷に押した烙印
- 汚名、恥
それが、家畜の所有者を表すとともに、家畜の品質をも表す商標の意味を持っていました。
つまり、もともとのブランドは、ウチのものという所有権と、品質保証の2つの意味を持っていました。
たとえば、ルイヴィトンの社章でもあるLVのマークが好例で、LVのデザイン(モノグラム)は、ルイヴィトン社のみ使えます。
そのため、LVのデザインが施されたバックは、質の高いバックの証明になります。
それ(モノグラム)が、高額の証明になります。
いいものが高いのは当たり前ですから、高く売れますし、高額ですから、高級なイメージになります(高額な商品は良い商品だという心理的効果=ハロープライス)
これがブランド。
要するに、信用の証明です。
ところが、現在のブランドの解釈は、ミソもクソもゴッチャになってしまって(ブランドとビヘイビアが入れ替わる等)、ワケがわからなくなってしまいました。
逆にいえば、あらゆる概念を含むようになったため、きわめて使い勝手のよい単語になったといえるでしょう。
よって、ブランドという言葉に、丸めこまれないように、ご注意ください。
筆者も、話をFIXしたい時や、丸め込みたい時に、よく使いますから(笑)