不動産会社の経営者が決める営業方針と不動産営業のコツ

ケーススタディ

不動産会社の経営者が決める営業方針と不動産営業のコツ

不動産会社の経営は、資金が第一ですから

(資金さえあれば、極端な話、売上や、利益が無くても、経営し続けられますから)、

一般的な不動産経営者は、資金の源となる売り上げや、利益を増やすように社内へ指示します。

わかりやすくいえば、
  • 「売上を増やせ」
  • 「商品(家・土地・不動産)を売れ」
ということです。不動産業界の場合ですと「売上目標の達成」というよりも、

「ノルマを達成しろ」

と、強制的な業務命令が下ることも珍しくありませんし、それは、正しい業務命令でもあります。なぜなら、企業には、

毎月の運転資金が必要不可欠

だからです。

個人の生活に置き換えてみれば分かるでしょう。毎月、家のローンや家賃を払わなければなりませんし、食べる物も、電話代も水道代も電気代も必要です。

そのように、毎月、一定金額の生活資金が無ければ生きていけませんね?それと同じように、

毎月必要な最小限の経営資金がノルマ

になります。不動産会社も、毎月、一定額の運営資金が無ければ、経営できません。

これすなわち倒産という、経営者にとっても、社員にとっても、最悪の結果になります。

なので、毎月、一定額の運営資金を稼ぎ出すために(言い換えるなら、倒産を避けるために)、最低限の利益=ノルマが必要不可欠です。

そうした死活問題を解決するために
「ノルマを達成しろ」
という絶対命令が下り、セールス部隊はノルマを達成するために、家や土地やマンションを売り込みます。こうして、

不動産会社の経営は資金が第一=不動産会社の営業活動はノルマ達成が第一

という構図が出来上がります。

ノルマが第一ですから、今すぐに売れそうなお客さんを探して売り込む探索型の営業方法になりますし、その厳しさといったら、ハンパじゃありません。そこで、

不動産会社を経営する社長や営業担当重役の経営方針

が重要になってきます。
  • •ノルマ達成のために、過酷なセールス活動を強いて、セールスの才能に乏しい社員を、使い捨てにして、セールスマンに向いた社員のみ自動的に残る不動産会社にしたいのか? 
  • •代金は、お客さんから受け取るものという当たり前の事実に則って、顧客を優先するか? 

お金さま優先か?お客さま優先か?

の判断です。お金さま優先の経営方針でしたら、そのまま営業方法に落とし込み、
  • 「売上を増やせ」
  • 「商品を売れ」
  • 「ノルマを達成しろ」
と売上目標へ突き進むことになるでしょう。それはそれで構いませんし、経営は資金が第一ですから、決して間違いではありません。


一方、お客さま優先の経営方針でしたら、営業方法の前に、マーケティングの顧客戦略を立て、
  • 「お金を払うのは、お客さんなのだから、売上を増やす前に、顧客を増やせ」
  • 「顧客を紹介してくれるのは、顧客(紹介は最強の新規営業)だから、顧客を増やせ」
  • 「不動産は、靴やパソコンと違って、高額商品なんだから、すぐに売ろうとする前に、顧客を増やせ」
  • 「不動産は、コメや牛乳と違って、ポンポン売れる日用品じゃないんだから、商品を売る前に、顧客を増やせ」 
と、顧客の数を増やすように指示するはずです。すると、社員から質問されることでしょう。

「不動産を買う人が、顧客ではありませんか?」
と。
その時は、マーケティングの顧客七階層を説き、

 「買う人だけがお客さんじゃなくて、たとえ買わなくても、お客さんを紹介してくれる人だって、お客さん以上の重要顧客なんだ。

お客さんを、十把ひとからげにするから、お客さんから嫌われるんだ。

お客さんは、七種類いる。七つの顧客ごとに、営業方法を変えよ。

それが相対的顧客戦略だ」

と教えてあげて下さい。あなたもセールスのプロならば、十把ひとからげにする危険性を、ご存知のはずです。

まだ買う前のお客さんと、買ったあとの顧客は、違う

ものですからね。
実例を挙げますと、ある地域密着型の不動産会社は、お客さんになるであろう地域の住民から嫌われるわけにいきませんので、

売り込み型の探索セールスではなく、無理なく長期に接触を続ける営業方法を採っています。

すぐに売り込もうとせず、お客さんになるであろう人脈の数を増やすことだけに専念しています。具体的に何をしているかというと、

家を建てた記念日(家の誕生日)に、担当したセールスマンが花束を持参

しているだけです。これで、年に一回の接触が可能になります。接触を続けていれば、忘れ去られることはありません。紹介の機会があれば、他の顧客を紹介してくれるでしょう。

このようにして、無理に売り込むことなく、落ちてきた熟柿を、労せずして(感謝されつつ)手に入れる営業方法を布いています。

不動産は、有形のようで、無形の商品ですから、セールスマンへの信頼が大きく影響します。

なので、

数年で辞める可能性が高いセールスマンには向きません

し、来年にも潰れる可能性の高い不動産会社に、長期の営業方法は向きませんが、

お客さんは会社の一生の財産

と考える経営者は、マーケティングの顧客戦略を取り入れることでしょう。なぜなら、かのドラッガー教授も、

There is only one valid definition of business purpose to create a customer.
「企業目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである」

と遺している通り、売上が足りないのではなく、顧客が足りないんだということです。

売上を増やしたかったら、売上を増やすよりも前に、顧客を増やしてみてはいかがですか?

お客さんは、ちゃんと見ているものですよ。

(旧約・顧客の十戒・その九)

金の切れ目が縁の切れ目といいます。あなたが欲しいのは顧客なのか、売上金なのか、私は見抜きます。

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