三大経営資源のヒト・モノ・カネを動かして、カネ(資金)を増やすのが、従来からの経営戦略ですから、
モノ(商品)を売ってカネ(資金)を増やそう
とすれば、モノ(商品)を買う人(お客さん)よりも、
モノ(商品)そのものと、カネ(売上)が優先
されます。カネを産むのは、顧客ではなく、商品になりますから、顧客よりも、商品を重視するようになります。モノ(商品)を売って、売上(カネ)を得るのですから、
カネ(給料)が欲しいヒト(社員)
が集まります。給料がなければ、生活していけませんからね、給料を得るために働くのは当然です。問題は、- ボクサーや役者のように、夢が叶うまでの生活費を稼ぐために働くアルバイトなのか?
- 主婦や学生のように、生活費や貯金を増やすために働くパートタイムなのか?
- 法人の一員として、企業価値を高めるために働く社員なのか?
ということです。
ちなみに、派遣社員とアルバイトを別扱いしている企業もありますが、実態は同じです。社員という名のマジックにだまされぬようご注意ください。
こうして、
カネを中心に、ヒトとモノが三連鎖する経営戦略になる
わけですが、それが間違いということではありません。経営は、自然な流れで、そこ(ヒト・モノ・カネの経営戦略)へ流れ着きます。では、
- お客さまが、お金さまになる戦略
- お金を払ってくれる「お客さま」第一の戦略
どちらを選びますか?
選ばなければ、自然な流れで、お金さま第一の戦略になる理由は前述の通り。経営は、カネ(資金)が第一だからです。つまり、
経営戦略で、お客さま第一を実現するのは難しい
のでした。お客さまとお金さまが二律背反するためです。お客さま第一を実現するには、
経営戦略を核とした「企業戦略」を立てる
ことです。では、企業戦略とは?
企業戦略で検索してみれば、お分かりの通り、経営戦略と同様、企業戦略の定義も百家争鳴ですが、筆者が定義するところでは、ヒト・モノ・カネの経営戦略に
ユメとキャクを加えた企業戦略
で経営することです。企業戦略には、5つの要素があります。- ヒト(人事,採用,退職,解雇,制度,労務管理,従業員教育)
- モノ(製造,在庫,物流,資材,設備,仕入れ,製品開発,各種規格,知的財産,ISO)
- カネ(資金,資本,融資,株式,社債,税金,財務会計,コストダウン,事業継承,M&A)
- ユメ(理念,社是,ビジョン,事業拡大,多角化,アライアンス,事業承継,企業再生)
- キャク(顧客維持,顧客創出,事業開発,販路拡大,リサーチ,ブランド)
経営者が考えるヒト・モノ・カネの経営戦略に、ユメとキャクを加え、社員も一緒に考えることです。一緒に考えられる社員を増やすことといっていいでしょう。
法人の成長を考えられなければ、ユメとキャクを考えることができませんから、給料を受け取るために働く社員は、アルバイトになるか、辞めていかざるを得なくなるかも知れませんが、その、人事(ヒト)の判断は、経営判断になります。
経営意識の高い社員が集まり、経営者目線から見た建設的な意見で、経営者を補佐する企業集団にするか?
はたまた、高度経済成長下で通用した、ヒト・モノ・カネを経営資源とする企業のままでいるか?
どちらを選ぶのも自由です。