経営戦略とは、三大経営資源の人・物・金を動かして、どのように利益を得るか、経営者が立てる作戦ですから、戦略内容は各社ごとに異なります。経営資源の優先順位は、
カネ(資金)が第一
です。三大経営資源のうちの、カネです。資金さえあれば、売上や利益がゼロでも、やっていける
からです。なにも難しい話じゃありません、支出よりも収入が多ければ、いくら使っても減りませんよね。また、あなた個人が貯金するのと同じことで、貯金さえあれば、収入がなくても暮らしていけるでしょう?
逆に、売上や利益があっても、資金が無ければ、たちまち倒産してしまいます。
来月の給料を、売掛金や手形に喩えてみると、分かりやすいかも知れません。来月も、定額の給料が振り込まれる予定だからといって、手持ちの現金を使い果たしてしまったら、パン一つ買えなくなりますよね?
だから、お金を計画的に使いますし、それは、個人も法人も同じこと。
お金の使い道を決めるのが、個人であれば、あなた自身ですし、法人であれば、経営者ですから、
三大経営資源の使い道を決めるのが経営者
であり、その判断が経営判断です。このように、細かい話(無形固定資産や生産性や無借金経営etc.)は抜きにして、経営は資金が第一ですから、
- 決算書(BSやPL)の数字が、何よりも第一ですし、
- 経営相談の相手は、税理士が第一位ですし、
- 銀行から融資を受けるにしても、数字が必要不可欠
- 「社長、銀行の融資係から、お電話です」
- 「専務、税理士の先生が、お見えになりました」
- 「常務、顧客A社の手形が、不渡りになったようです」
と毎日のように繰り返していると、おのずから
経営者の頭の中は、数字まみれ
になります。資金さえあれば、売上や利益が無くても経営し続けられますから、売上よりも、利益よりも、資金が第一で、資金が第一だからこそ、社外の銀行や、株主が、経営に参画してきます。しかし、借りる(出資してもらう)だけで経営は成り立ちませんし、貸す(出資する)側にしても、利子(配当)という利益が目的ですから、
「これくらい儲けるつもり」
と見込んだ利益を稼ぎ出し、配分しなければなりません(営業外収益は別です)
借りられる企業は幸いです。いざというとき、融資してもらえますから、経営危機を乗り越えられます。
リーマンショックのように、いつ、どこで、どんな災難が降りかかってくるかわかりませんからね。
その時のために、借りる必要がなくても借りて、利子を払い続け、信用を得ておき、経営が悪化した時に、借りられるよう備えている企業も多々あります。
しかし、借りる当てがなければ(借りる当てがあっても)、商品を売って利益を稼ぎ出さなければなりません。商取引が企業活動ですから。
商品、つまり、
三大経営資源のうちの、モノ
ですね。メーカーなら、製品のみならず、資材や倉庫や工場の設備もモノに入りますし、非メーカーなら、社屋や、車両や、10万円以上の什器備品までモノに入ります。カネとモノがあっても、ヒトがいなければ、企業活動できませんから、たとえ社長一人であっても、
ヒトが必要不可欠
です。社員(ヒト)を増やせば、給料(カネ)を払わなければなりませんし、社員(ヒト)が増えれば、モノも増やさざるを得ません。物は商品のみならず、たとえば、
- 営業活動でアポイントを取るには、電話器と席(モノ)が必要ですし、
- 納品するには、運搬用の車両が必要なように、働く環境(モノ)を整える必要がありますし、
- モノを整えるには先立つ資金(カネ)が必要ですから、資金を借りるか、稼ぐ他ありません。
切り離せるものではない三大経営資源を動かして、どうやって利益(売上)を稼ぎ出すか?という経営者の作戦が、経営戦略であり、
ヒト・モノ・カネを最適に配分するのが経営者の役目であり、
銀行から一億円を借りるのが一般的な社員の役目ではないように、
三大経営資源を動かす判断は、経営判断
になります。「どうやって儲けるか?設計面を描くこと」というほうが、分かりやすいかもしれません。その作戦(経営判断)に従がって、社員は動きます。