OGASAHARA

美容室を開業するなら業界志向よりも顧客志向を実現する立地が最優先

美容室の現状と今後は「業界志向」より「顧客志向」になれるかどうか

1.ビジネスチャンス!規制緩和で理美容の差がなくなった

髪を切る時、理髪店(床屋さん)へ行きますか?美容院(美容室)へ行きますか?
男性は、理髪店(床屋さん)が多いようですね。
それもそのはず、床屋さんは、理容師法で、他人の頭部に刃物をあてることが許されており、
髪を切ることも、ひげを剃る(カミソリを使う)こともできますので、顔剃りしたい男性に向いています。
一方の美容室(美容師)は、美容が目的ですのでカミソリを使えません
法に厳密には、男性の髪を切ることもできません(女性の髪はカットできます)
ただし、ちゃんと美容師法に抜け穴があって、化粧に付随した軽い顔剃りは行っても差支えないとのこと。
これまでは、理容師法や美容師法で、
  • 美容師は、刃物を扱っちゃダメですよ~
  • 理容師は、美容(ヘアセットやメイク)やっちゃダメですよ~
と、棲み分けされていましたが(今でもそうですが)、生活実態にそぐわないため、規制緩和によって、
  • 美容師も、男性の髪を切ることができますよ~
  • 理容師も、女性の髪を美容(結髪やパーマネントウェーブ)できますよ~
  • 理容師と美容師が同一の店舗に在勤できますよ~
という具合に変わりました。要するに、

理美容の差が無くなった

わけです(2016.改正美容師法)
差が無くなると、どうなるか?というと、

床屋さんと、美容室は、ライバル関係に

なります。ぶっちゃけ、髪を切るお客さんの

奪い合い=カット一回につき千円札の札束の奪い合い

です。自由競争になると、もう、法(理容師法や美容師法)は守ってくれません。
  • 美容室は、床屋さんの男性客を、どうやって奪うか?
  • 床屋さんは、美容院の女性客を、どうやって奪うか?
限られたエリア(商圏)の中で、争奪戦が繰り広げられること必至。
と思いきや、大丈夫。ご安心ください。そういう(ライバルの顧客を奪う)視点でプロモーションしている店舗を見かけることは、まだまだ稀。
ライバルが気づいていないのですから、これはチャンス!
ライバルが気づくまでの時間との勝負です。このチャンスを活かすも殺すも、サロン次第。あなた次第です。

2.規制緩和でライバルひしめく理美容業界

今のご時世、理容師にしても、美容師にしても、
「専門技術を学び、国家資格を取ったプロ(職人)であって、サービス業ではない
というスタッフや、サロン経営者は、いないように思えますが、
「これは、こういうモンなんだ」(オヤジは、えり足を刈りあげるモンなんだ)
という、業界の常識(?)に囚われた床屋さんが現存するのは確か。
床屋さんで、
筆者「ここは、こう切って下さいね」
プロ「お客さん、それはおかしいですよ。刈りあげましょう」
と反駁された体験を持つのは、筆者のみではありますまい(苦笑)。
はて、お客さんは、理容師の技術や、

業界のルールや、理容師の技術に代金を払う

んでしょうか?お客さんは、自分の満足に、代金を払うんですよね?
これでは、床屋さんが、美容院の女性客を奪うどころか、男性客まで離れてしまいます(筆者が床屋さんへ行かない理由でもあります)
道理で、床屋さんの店舗数や、理容師数が、横ばいなのは、そのため(必要最小限の顧客数で保たれている市場だから/筆者分析)でしょう。
その点、美容師は、業界の常識を押し付けることなく、極力、お客さんの要望に応えようとします。
美容院や、美容師の数が、右肩上がりなのは、そのため(男性客を取り込んで拡大しているから)でしょう。
しかし、だからといって、開業すれば安泰かというと、とんでもありません。
床屋さん13万店舗(理容師24万人)に対し、美容院は、約二倍の24万店舗(美容師49万人)で、急速に増加の一途(2015現在)
なんと、コンビニ(53,000店)の5倍も美容院があります。1軒のコンビニの近隣に、5軒の美容室がある計算です。
では、顧客となる人口も急速に増加しているか?というと、その逆に、減少中。
一世帯あたり、理美容に費やす金額も、減少中。
それに、いくら男性客を取り込んだからといって、理髪店の市場規模は横ばいですから(床屋さんから絶対に離れない男性客がいますから)、

美容室のオーバーストア(供給過多)は明らか

で、お客さんの数以上に美容室があります。
市場規模は縮小しているのに、美容室が増えているということは、今後、
  • 廃業やむなしか、
  • 苦戦を強いられる美容室が増える
こと必至(というか、既に増加中)
これくらい、現役のサロン経営者は重々ご承知でしょうけれども、敢えて市場の動向を予測すれば、

集客に傾注した戦術 ※ 

や、
「チラシには、お客様の声を載せましょう」
といった小手先のテクニックに頼る集客では、独立しても、ほとんどは集客できず、

閉店・再就職を待つのみの業界と結論づけていい

でしょう。実際、24万店舗のうち、毎年、

一万店が開業し(1/24!)一万店が廃業

しています。開店する数だけ、閉店している様子です。
まるで、開店する数だけ閉店している、ラーメン業界と同じ、過当競争です。
※集客に傾注した戦術
チラシ、フリーペーパー、ニュースレター、ポイントカード、イベント、会員制度、メニューボード、お礼状、ホームページ、ブログ、Facebook、メルマガ

3.美容業界はマーケティングの中のプロモーション重視

現状を裏付けるように、あらゆる調査結果をみても、

経営の問題点は、顧客数の減少が一位

で、次いで、新規開拓(顧客の増加)
要するに、サロン経営の悩みは、一点に集約されていて、それは、

お客さん(リピーターという意味での顧客)

ですね。「お客さんが減っている」「お客さんを増やしたい」だから、集客に走る。しかし、集客に傾注した戦術は、ライバルもやっている
たとえ、やっていなくても、今すぐ誰にでも始められる(独自性なし)
このように、集客に傾注した戦術(プロモーション)には、
  1. 優位性も
  2. 差異性も
  3. 独自性も
ありませんから、そうした戦術や、小手先のテクニックでは、独立しても閉店、再就職を待つのみですよ?という結論になります。それなのに、

経営の参考にする情報源は、同業者が一位

で、次いで第二位は、仕入れ先。どっちも業界人です。
想像するに、ライバルであるはずの同業者が、サロン経営のセミナー等に集い、
「どうすれば、お客さんが増えるかな?」
「チラシにクーポンじゃね?」
「ホームページに、お客さんの声を載せるといいらしい」
「調子のいいサロンでは、何やってんだろ?」
と、業界うちうちで話し合っているのですから、これでは、同業他店が気づかない作戦を思いつくはずありません。
それもそのはず、情報源として、

肝心の顧客は、第三位

です。経営課題が、顧客へ一点集中しているにもかかわらず、主客転倒しています。
あれれ?顧客が欲しければ、

顧客が一位になるはず

ですよね?この調査結果から、美容院は、マーケティングで最も重要な『顧客』よりも、(マーケティングの一部に過ぎない)チラシ等の

プロモーションに傾注している

ことが分かります。これはチャンスです。ライバルたちの顔が、経営課題/第一位の顧客ではなく、業界へ向いているのですから。

4.誰に買ってほしいのか?美容室の顧客戦略は?

集客(プロモーション)しても無駄とはいいません、集客(プロモーション)のみでは限界があるということです。

戦略的には、立地

で、ひとくちに立地といっても、駐車場があるか?ないか?で、集まる顧客の属性が異なります。
路面店か?ビルインか?でも異なりますし、同じビルインでも、ターゲットによって戦略は異なります。
たとえば、母子を狙うのでしたら、複合小売店のスーパーマーケットと同じフロアに、格安サロンを構える戦略になりますし、
プレミアムサロン(高級店)路線なら、シティホテルの中や、銀座等の立地になります。
男性狙いなら、男性が多く住んでいる町。
床屋さんの男性客を奪うのですから、理容店が多い町でも構いません。
店舗の運営費が重荷になるようでしたら、店舗を持たない出張美容師になるという戦略もあります。移動手段の少ない高齢者には喜ばれるでしょう(改正美容師法によるビジネスチャンス)
移動販売ならぬ、移動美容車で、職域狙いという戦略もあります。顧客が付いて、儲かるようになってから、店舗を構えればいいのですから。
こうした、顧客に応じた店舗運営は常識でしょうから、これ以上は割愛しますが、
いずれにしても、誰が買う商品なのか?顧客を中心に考えなければなりません。マーケティングの軸は、

顧客(リピーター)

です。それを、
「お金を払ってくれるなら、誰でもいいから、いらっしゃーい」
と、家賃の手頃な物件を求め、開店すると、誰でもいいから、かき集めるべく、集客に追われることになります。
広告やチラシ等による集客(プロモーション)は、最終的には、値引き行為に他なりませんので、少なく抑えるに越したことはありません。
集客に勤しむどころか、できるだけ、しないほうが良く、優良顧客が多ければ、集客しなくて済みます。
集客に頼らず、集客するには、美容室が売っている商品の本質を見極めることです。
では、美容室が売っている商品の本質とは?(後編へ続く)

編集後記

美容系の店舗の記事を、数年前から、いつか書こうと思っていました(やっと叶いました)
その一つの理由は、マーケティング=プロモーションになっていること。
ちょっと検索してみれば分かりますが、集客に傾注した戦術(プロモーション)こそマーケティングであるかのように、美容室やエステといったサロン専門のコンサルタント(の、おそらく一部)が触れ廻っているからのようです。
(試しに、検索してみて下さい。儲かりそうな美辞麗句が並んでいても、結局は、クーポン、チラシ、ポイントカード、ニュースレター、ホームページ等を「やりましょう」という販促活動に落ち着くようです)
かくいう筆者のところへも、サロン経営者から問い合わせはありますが、お客さまが欲しいのではなく、お金さまが欲しい経営者には、顧客が第一というマーケティングの基本が通じないことは確かです。