新商品と新事業の違いは事業>商品(商品は事業に含まれる)

新商品と新事業の違い
パンが商品で、パン屋さんの運営が事業

1.事業>商品(商品は事業に含まれる)

このサイトを御覧になるほどでしたら今更な感がある“新商品”と“新事業”の違い。
  • 新商品とは、新しく売り出す(売り出した)商品のこと
  • 新事業とは、新規に立ち上げる(立ち上げた)事業のこと
ですね?

以上。

で終わっては、「バカにすんじゃねー」という(笑)お叱りを受けそうなので、別の角度からも切ってみましょう。

1)“新商品”と“新事業”は別もの(事業 > 商品)

飲食店でしたら、想像しやすいでしょう。

店舗の開発にあたるのが新規事業で、新メニューにあたるのが新商品です。なぜなら、どんなに美味しいメニューがあっても、立地で失敗すると、取り返しがつきません。

事業 > 商品

の構図です。たとえば、事業規模と言いますけれども、商品規模とは言いませんね?

経営陣が投資する金額も、事業と商品では、異なります(事業のほうが大きい)

このように、誰しも“新商品”と“新事業”が別であることは、バカバカしいくらい分かっているにもかかわらず、いざ、自社のこととなると、一緒くたになっちゃう不思議(笑)

まず、その理由を解き明かすところから始めましょう。

2.新商品と新事業が入り混じった実例

メニュー開発のようなBtoC(お客さま商売)の例でしたら分かりやすいでしょうけれど、BtoB(企業間取引)となると、たちまち分かりにくくなるようなので、実例を挙げましょう(脚色やや半分)

2)自社にとっては新商品でも、顧客にとっては既存品

ある印刷会社の社長さんが、業績を伸ばすために、新規の事業を興したいとのこと。事業案の候補は、
  • 動画印刷
  • バリアブル印刷
  • 電子書籍
  • IoT
  • 文書デジタル化
  • ホームページ制作
  • Web to print
だそうですが、見事に“新商品”と“新事業”が入り混じっています。なぜなら
  • 動画印刷にしても、
  • バリアブル印刷にしても、
  • Web to printにしても、
  1. 他の印刷会社さん(ライバル)も売っている既存商品で、
  2. まとまった投資なくして(印刷機にコンピューターをつなげれば)商品化でき、
  3. すでに、ライバルへ発注しているお客様にとっては、珍しくない、既存商品
ですので、新商品では(新事業でも)ありませんね?
この社長さんの印刷会社にとっては、今まで、自社に無かった新商品であっても。

3)商品と事業の違いを知らなければ「新しい何か」を混同しがち

ライバル(他社)が取り扱っている商品であっても、自社に無ければ、それは、
「新商品に違いなかろう」
という解釈も成り立ちますが(同業他社が売っているなら当社でも売ろう的な発想で)、競合他社が多ければ多いほど、ライバルとの激戦が待つレッドオーシャン(激戦)市場で戦うハメになる営業職は大変です。これが、
  • 電子書籍
  • IoT
  • 文書デジタル化
  • ホームページ制作
となると、もっと大変。

電子書籍へ参入するとしたら、凸版印刷さん(BookLive)や、大日本印刷さん(honto)と競合する(そんな大手と競合できるのか?という)ポジションになりますし、

そもそも、参入余地がないほどの激戦市場です(電子書籍 業界地図 で検索してみて下さい)

筆者も電子書籍を上梓していますが、業界地図に載っていないプラットフォーム(電子書籍屋さん)でも売られています。要するに、大小のプラットフォームが沢山あるわけです。

IoTに至っては、何をして営利追求(ご商売)するのか、あまりにも茫漠としていますし、ホームページ制作の販売となると、営業さんが協力しないでしょう。明に暗に。

だって、印刷を売りたくて営業しているのに、何が悲しくて、ホームページなんか売らなきゃならんのじゃ?ってナもんですよ。フレキソには詳しいけれど、HTMLなんて、チンプンカンブンだし。

4)「新しい何か」を混同すると起りがちな経営判断ミス

こうして、新商品のようで新商品にあらず、新事業のようで新事業たりえない、新商品も新事業も一緒くたの「新しい何か」が、経営陣より上意下達され、現場は混乱することになりますが、経営者を責めるなかれ。

経営者は、社の舵を取る責任者でありつつも、投資家でもあります(過半数の自社株を持っている場合)

新商品であろうと、新事業であろうと、「新しい何か」によって業績を伸ばし、社を維持し、成長させなければなりません。それが、経営の仕事。

企業は営利追求団体ですもの、当たり前です。

ぶっちゃけ「儲かりゃいい」わけです、新商品であっても、新事業であっても。

こうして、新商品と、新事業が一緒くたになって、売れない新商品に、新事業規模の金額が投下される(経営者の判断ミスを招く)ことがあります(次に実例)

3.新規の事業は、成功するより前に、失敗しないほうが大事

今の商売(既存事業)が伸びない、あるいは、低迷している経営者には、新規事業という隣の芝生が青く見えます。

ある広告代理店の社長(42歳)は、バブル崩壊で、広告が売れなくなったので、
「広告のように、形が無い商品は、売りにくい。形がある商品を売ろう」
と、既存事業(広告)とは別に、食品の加工販売という新規の事業を立ち上げました。

加工食品を選んだのは、それを、東京ビッグサイトの見本市で見つけたから。

「世の中にない、画期的な商品だ!」
と、衝撃を受けたそうです。これは売れるぞ!

しかし、見本市に出展しているからといって、売れる商品の保証はありません(売れる商品ではなく、売りたい商品を並べている場が展示会)

その商品に惚れ込んだ社長は、本業の広告事業とは全く別の、新規事業のために社屋を借り、スタッフを雇用し、商品を仕入れて、売りました。ご自分の営業力には自信があったそうです。

結果、新商品のような珍商品を売る新規事業は、半年も持たずに、壊滅。

その(資金難の)あおりをうけて、本業の広告代理店も、倒産。

まる裸になった社長いわく、

「広告代理店といっても、求人広告だからね、マーケティングなんか知らなかったわけよ。
あの頃、マーケティングを知っていたら、ちゃんとリサーチして、あの商品には、手を出さなかったに違いないよ」

これこの通り、新商品と新事業の違いを理解しておかないと、経営者レベルの判断ミスを犯す危険性があります。

経営レベルの判断ミスということは、社員の皆さんを、突然、路頭に迷わす危険性があるといっていいでしょう。

4.事業と企業の違いは企業>事業(事業を行うは企業)

最後にもう一つ。事業と企業の違いについて。事業と企業も、分けて考えましょう。

事業は商売(ビジネス)で、企業は法人です。法的にいうと、法人ですから、法律(商法)が適用されます。一方、事業や商品に人格はありませんので、法律が適用されません。

また、ひとつの企業に、事業も一つとは限りません。自動車の製造と、バイクの製造のように、二つの事業があっても構いません。

そうした、事業を行うのが、会社、すなわち、企業です。事業を売ったり、買ったりするのも、企業です。