精神的価値と経済的価値「お金で買えない価値がある」2つの価値

マーケティング

お金で買えない価値がある

お金で買えない価値がある…買えるものはマスターカードで

3-1.価値と代金を交換するための提案と開発

マーケティングにおける価値とは?
お客さまが、お金と交換する理由です。
その理由が、暗黙知の(判っちゃいるけど言葉にできない。気づいていない)場合もあります。
そういう場合に有効なのが、用途提案です。
商品の使い方を提案する用途提案は、マーケティングの王道です。
なぜに王道か?というと、用途提案は、顧客にとっての価値を提案する先手だからです。
ご存知のように、ビジネスは、商品と代金を交換する商取引です(交換しなければ、犯罪になります)
相手あっての取引ですから、お客さんという相手が、理由もなく、なんとなく、お金を払うハズありませんね?
たとえば、牛丼を食べたい人は、牛丼を食べたいという理由で、牛丼チェーンを選ぶでしょう。
牛丼だけで考えれば、牛丼チェーンのライバルは、牛丼チェーンです。
ところが、牛丼を食べたい人のみならず、
  1. 早く食事を済ませたい人も、
  2. 安く食事を済ませたい人も、
  3. そこそこ旨ければ良いという人も、
牛丼チェーン店を選びます。このような、
  1. 早さ
  2. 安さ
  3. 旨さ
で選ぶ人は、牛丼チェーン店のみならず、回転寿司や、ハンバーガー店や、立ちそばも選択肢に入ります。
このように、早い・安い・旨いという価値で考えれば、牛丼チェーンの競合は、同業のみならず、異業種の立ちそばや、回転寿司や、ハンバーガー店もライバルになります。
牛丼チェーン店のライバルは、牛丼チェーン店だけではなくなります。
ここまでは、おわかりになりますね?
そうした、顧客にとっての価値を見誤ると、牛丼の味で勝負とか、食材で勝負といった、
  • 早い
  • 安い
  • 旨い
という価値を求める需要とは別方向へ走ることになり、顧客が離れ、いずれ、経営が苦しくなるのは、火を見るより明らか。
たとえば、グラム数千円の松坂牛を使った食材や、美味で勝負する高級店ならば、同じ牛専門店といえども、牛丼チェーンは、ライバルになり得ませんでしょう?価値(代金を払う理由)が異なるので、顧客も異なるからです。
このように、お客さんは、商品と代金を交換するのではなく、価値と代金を交換しています。
支払う先に、業界の垣根はありません。
なので、提供する価値が間違っている場合や、そもそも価値が無い場合、「どうして売れないんだろう?」と悩むことになります。
商売を繁盛させるべく、売れる商品を作り、売れるように売るため、価値を作って(=価値開発)、提案するのがバリュー・プロポジション(=価値提案)です。

3-2.商品の機能(スペック)を提案する前に、精神的な価値を提案しよう

マーケティングで、バリュー・プロポジションというと、価値を提案することです。用途開発や用途提案を含む、価値提案です。
価値を提案するというと、よく間違えるのが、商品の機能(スペック)を提案してしまうこと。
たとえば、プロダクトアウト(技術優先)だった頃の自動車。
  • 最大出力350馬力
  • 最大トルク2600rpm
  • 排気量4200cc
  • 最高時速280km/h
  • V型8気筒エンジン
という機能(スペック)に興味を示すのは、カーマニアか、メーカーか、カーディーラーくらいでしょう。
350頭分の馬力が、どれくらいか、一般ユーザーは、想像できませんよね。
そんなプロ向きの機能を説明するくらいなら、

ポルシェのような車

わずか9文字で説明するほうが伝わりやすいでしょう。
このように、商品の機能を提案するだけが価値提案ではありません、ポルシェのように
  • 速い
  • かっこいい
  • ステイタスがある
という顧客の価値を提案することです。
では、顧客の価値とは何でしょう?何を開発し、何を提案すればいいのでしょう?
価値の二文字を、歯に衣着せずに用いたマスターカードの広告を例にすると、

  • [前段]お金で買えない価値がある = 命、愛、善、信、美などの心の豊かさ(精神的価値)
  • [後段]買えるものはマスターカードで = 物の豊かさ(経済的価値)

です。巷間よく言われる「お金で愛は買えない」は、精神の格調を尊ぶ哲学的価値のことで、反対に「お金で買える愛もある」は、お金があれば何でも買えるという経済的価値のことです。

ビジネスは、商品と代金を交換する取引ですから、哲学的な価値はサテ置き、経済的価値で考えれば、価値は「価格との比較」で、
  • 価格以下なら、価値があり
  • 価格以上なら、価値がない
とシンプルに大別できます。もちろん、価格にも価値にも、個人差がありますから、
  • ある人にとって、十万円であっても、価値がある商品もあれば、
  • ある人にとって、十万円であっても、価値がない商品もあります。
つまり、価値を認め、且つ、支払える「人」のために、価値を開発し、提案するのが、価値提案(パリュー・プロポジション)であり、価値提案で、価値という無形物を最大化するために立てる作戦が、マーケティング戦略です。

3-3.売れるか?売れないか?価値を決めるのは(売る側ではなく)価値を買う顧客

価値を認める人がいれば、路傍の石さえ、値千金の値がつきます。骨董品が、いい例ですね。がらくたと紙一重の品々が多い。
民家の片隅に転がっていた茶碗に、一国一城の値段が付いているのも有名な話です。
道端で石ころを拾い「千円で売る」といえば、石ころに千円の価値が付きますよね。経済的な価値は「価格との比較」で決まるからです(写真アルバム等の精神的な価値とは異なります)
問題は、石ころに千円の価値を認める人が、いるかどうか?お客さんの有無です。
お客さんがいれば(マーケットがあれば)売れますから、さっきまで路傍に転がっていた石コロは、千円の価格と価値を帯びます。
このように、価値は、対価を払う、あるいは、対価を払える人のためにあります。

フェラーリやロールスロイス等の高級車が典型的

  • フェラーリという、公道を走ることが認められたレーシングカーに、2,000万円の価値があるかどうか?
  • 100万円なら、軽自動車のような大量生産と、薄利多売が成り立つかどうか?
  • それが成り立つとしても、フェラーリは、高嶺の花でいられるかどうか?
経済的価値は、価格との比較ですから、希少性の高いフェラーリは、高額であって然るべきですし、その価値を認め、対価を払える人(高級車の場合は富裕者層)のために、公道を走ることが認められたレーシングカーという価値がフェラーリにはあるといっていいでしょう。
まとめますと、経済的な価値は、その価値を認め、買える人のためにあります。
  1. 認めない人は、顧客になりませんから、追いすがっても時間のムダです。
  2. 買えない人は、顧客になりませんから、深追いしても労力のムダです。
価値を認めて、買う人へ、価値を提案するのが、バリュー・プロポジションです。
なぜなら、価値は「その人にとって大事なもの」ですから、価値観は、人によって異なるからです。
価値を認めてくれて、対価を払えるお客さんを選びましょう。
あなたから先に選ぶことで、あなたも選んでもらいやすくなりますよ?

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