
誰に(ダレ)何を(ナニ)どうやって(ドウ)売る事業戦略は連鎖している住宅リフォームの例
人口減少、少子高齢化によって、悪質業者が増えてきそうな業界といえば、リフォーム業界。
誠実に商売している工務店にとっては、迷惑きわまりないライバルですが、だまして売りつける彼らには、お得意様(リピーター)も、紹介客も期待できませんので、顧客戦略という概念が抜け落ちています。
「リフォームを誰に売るって、お客さんに決まっているだろう」
という発想で、現在客のみ売り込みます。
ひとくちに「顧客」といっても、直接客と間接客に分かれます。
リフォームのお客さんには、
- お金を払ってくれるお客さん = 直接客 と
- お金を払ってくれないお客さん = 間接客
の二種類がいて、通常、お客さんというと、
まもなく買う、あるいは、ただ今お取引中の現在客(= 現在の直接客)
を指します。
- 過去に買ったことがある 体験客( = 過去の直接客) と
- 五年後に買うかも知れない 潜在客(= 未来の直接客) と、
紹介者や 記者等の 間接客
は、お客さんの中に含まれません。カネの切れ目が縁の切れ目という経営理念ですので。
今月 来月の売上が欲しければ、すぐに契約してくれる現在客へ売ろうとしますし、それは間違いではありませんが、少ない母数へ 何回も 何回も 売り込んでは
嫌われることになります。
一方、すべての直接客と 間接客も 顧客と見なせば、
- リフォームを体験したOB客が、有力な紹介者になります
- 紹介で仕事が入ります
- 代わりに売ってくれる人が増えます・新聞やテレビ等のメディアに取り上げられます
- 潜在客が、数年後には 新規客になります
このように、間接的な顧客が増えます。
弁当や飲み物のような 関与度の低い商品 (あまり深く考えずに買う商品) とは違って、何十万円、何百万円もする、関与度の高い商品ほど、
潜在期間が長く(検討する時間が長く)、時には、数年に及びますから、リフォームを売るって
「いつまでに?」
ということになり、その答え如何によって、今月 来月の現在客のみか、それ以外も含めるか、誰へ売るか決まります。(1)誰に(2)何を(3)どうやって売る?という事業戦略の
(1)誰に
です。
誰に売るか決めるのは、営業社員ではありません。
- 経営資源の 人(ヒト) 物(モノ) 金(カネ) を動かして
- 紹介されたときの御礼(経理上の処理)を税理士さんと相談し
- 数年後まで (潜在客が 新規客化するまで) 会社を存続させるかどうか計画し
- すべき すべからず といった 従業員の行動規範(企業理念)を決め
「リフォームを売れ」と命じる経営者です。要するに、営業戦略は、営業社員が決めることではなく、経営者が決めることです。
なので 「誰に売ればいいか?」 経営者へ聞いてみて下さい。その答え如何で、誰に売るか決まります。
もしも、今月 来月 「お金を払う現在客だけへ売れ」と言われたら?
それが営業戦略ですから、会社の業務命令に従う他ありません。イヤなら、転職するか、理想の経営を目指して独立するのみ。
さて、ここまでで、誰へ売るか決まりましたね?次は、
何を売る?商品戦略
です。
何って 「リフォームに決まっているだろう」 と思いますよね?半分、正解で、半分、不正解です。
リフォームは、システムキッチンやトイレ等の有形財(形あるもの)を売っているようで、じつは、
工事や信頼といった無形財を売っている
という本質論です。
これは、 建設、建築、新築、リフォームすべてに通じます。たとえば、施主さんのところへ、建材メーカーから、システムキッチン一式がドーンと届いたら、 施主さん、段ボール箱を目の前にして、困っちゃいますよね?
ごく当然な話ながら、打ち合わせ(営業や設計)あってこその工事であり、 工事があってこそ、リフォームや住宅建築が成り立ちます。
その工事には、
・形も、色も、匂いもなく、壊れません = 無形です
・工事は、無形ですから、製造できません
・工事は、無形ですから、在庫できません
・どんなマナーで工事してくれるのか? (無形ですので) 施工前に、体験できません
工事は、365日24時間、同じではなく、天候や季節、大工さん等の体調によって変わります。 機械ではありませんから、常に均一の品質を保つのは不可能です。
同じように、営業活動も、
- 営業活動には、形も、色も、匂いもなく、壊れません = 無形です
- 営業活動は、無形ですから、生産できません
- 営業活動は、無形ですから、在庫できません
- 営業活動のみ販売することはできません
どのように営業対応してくれるのか?フォローしてくれるのか?契約前に、体験できません
営業活動は、365日24時間、均一ではなく、営業マンの体調や、気分によって変わります。営業知識の習得によっても変わりますので、一定の質を保つのは不可能です。
これこの通り、
住宅リフォームは無形で、無形財を売るのはサービス業
です。
旅館やホテルと一緒ですね?旅館やホテル等に、建物や備品(有形物)は、ありますが、お客様の評価は、サービス(無形)で決まるでしょう?
リフォームの良し悪しも、営業や 工事といった 無形で決まります。
なので、トイレ等の建材に対するクレームよりも、
話が違うといった類いの営業対応や、工事に関するクレームのほうが多い
わけです。
このように、リフォームは(建築も建設も)、新しいキッチンや、新しい風呂場や、新しいトイレ を売っているように見えて、じつは、営業にしろ、設計にしろ、工事にしろ、
プロの仕事ぶりという無形財
を売っています。信頼やコミュニケーションと言い換えてもいいでしょう。
これが、戦略の二つ目になる、
(2)何を売る?
です。
現在客のみ狙う戦略でしたら、バス・キッチン・トイレといった有形物を売る戦略になりますが、同じ商品はライバルも売っていますので、何の差別化にもなりません。
一方、無形を売っているサービス業であれば、
無形で無償のサービスを売る
のが営業の役割になります。営業活動は、無償です。(バスやキッチンが有償です)
何を売るかという戦略いかんによって、戦術(方法。売り方。売るもの)が変わります。
ここまでで、誰へ売るか?何を売るか?が決まりました。次は、戦略の三つ目にあたる、
どうやって住宅リフォームを売る?営業戦略
です。どうやって?って
「飛び込みに決まっている」
と思いますよね?
結論から先に述べますと、飛び込んで、迷惑がられるなら、飛び込まないほうがマシです。
飛び込みは、悪質リフォームの常套手段ですが、だまして、売り逃げる悪質リフォームは、信用されませんから、紹介も、リピートも期待できません。飛び込むしか、売り方が無いわけです。
では、飛び込まずに、リフォームを売る方法は?