第一部 なぜ、経営戦略が必要なのか?その背景
1.人口減少による顧客減少に対し必要な経営戦略
企業数(事業者数)は、約477万(1986年)をピークに、26年間で、約143万も減り、約334万まで減少中。1円起業後も、減少の一途。
お客さんの母数が減りはじめた。人口の増加が前提だった20世紀型の経営戦略(成長戦略)は通じなくなる
1300年間も増え続けてきた日本の人口は、2008年をピークに減少へ転じ、5年間で、約100万人ずつ減少中
目に見えない人口減少は、縮小した市場を実感しづらく、真綿で首を締めるように、ジワジワと顧客が減っていく
開闢以来これまで体験したことのない未曽有のパラダイムシフト(劇的変化)が起きつつある日本
人口減少、企業減少、少子化、高齢化で、減りゆく顧客を維持するためには、戦略という、勝ち残るための作戦が必要
2.成長と競争の20世紀
人口が増え、企業数も増えた、成長と競争の20世紀『高度経済成長期』
50年前の高度経済成長期は、人口も、企業数も、湧き出るように増えた
成長期から安定期は、自然と増えるお客さんを、奪い合える、競争の時代だった
成長期以降、米国から日本へ輸入された経営戦略は、成長と競争の戦略
成長期ゆえに、成長と競争の戦略は受け入れられ、今でも、成長と競争の経営戦略が、主流になっている日本
成長期が過ぎても成長できる企業は、イノベーション(新しい価値)を創造できる企業
イノベーションを起こせずに成長した企業は、社員を抱えられなくなり、リストラや縮小が始まる
リストラしなくても良いようにするには、売れる価値を作って、売れるように売る(イノベーションを起こす)
3.目的の一致
人口が減り、企業数も減っている、維持と充実の『少子高齢化』
方向性A)成長…維持は当然。さらなる競争で成長させる
方向性B)維持…伸ばすよりも維持。広げるよりも充実
方向性C)成長…利益よりも、売上(広告や、営業の人海戦術で、売上
を伸ばす)
方向性D)維持…売上よりも、利益(利益を削る広告や、無駄な営業活動は抑える)
方向性E)成長…社員の給料を増やすより先に、新しい社員を採用して、人を増やす
方向性F)維持…新しい社員を増やすより先に、現社員の給料を増やす
方向性G)成長…快適な職場にするよりも先に、広い職場にする
方向性H)維持…広い職場にするよりも先に、快適な職場にする
好待遇で、快適な職場には、入社したがる人が集まる
人を増やすよりも、維持が優先につき、入社できるのは少数(あこがれの企業化)
やっと入社できた企業だから、長く勤める(離職率が低い)
勤め続ける優秀な社員であるには、経営者と同じ意識が必要
全社員が経営者の意識を持つと、ぶら下がり社員が減る
経営意識がなくても構わないのは、自分の生活のために働く、パートやアルバイト
会社の維持と、生活の維持。会社の充実と、生活の充実。経営者と社員の目的は一致する
第1章 財務戦略は、カネ(資金)を集めてヒト(人)モノ(物)を動かす経営者の作戦
稼ぐ力と、借りる力と。支払う力が企業の力
・ヒト(人)モノ(物)カネ(金)のうち、もっとも重要なのは、カネ(資金)
・給料が増えない(安易に増やせない)のは、社員の生活を安定させるため
・借りるか?稼ぐか?して、カネ(資金)さえあれば、会社は存続できる
・借りるのが、経営者。稼ぐのが、社員。経営者と社員の違いは、借りるか?稼ぐか?の違い
・一億円を銀行から借りるのは、社員の役目ではなく、経営者の役目
・株主は、出資の見返りに、利益を求め、銀行は、貸した融資を、返すように求める
・カネ(資金)を増やすために、経営者は、「売上目標を達成せよ」と命じる
・売上目標を達成するために、全社をあげて、商品を売ろうとする
・商品を売ろうとすると、お客様よりも、売上、利益、お金さま優先になる
・お金さま優先になると、お金を払ってくれなければ、客に非ずという考え方に染まる
・利害関係者のみ取引相手にしていると、金の切れ目が縁の切れ目になり、未来の顧客や、紹介者を奪われる
・売上を増やすには、商品を売るより先に、お客様の元となる、味方を増やす
第2章 人事戦略とは、組織を動かす経営者の作戦。個人の価値観よりも、法人の価値観で行動する組織(やる気)を作る
・仕事のプロを育てて、動かすのが、チームリーダー。人の心を育てて、動かすのが、経営者
・チームリーダーの存在意義は、自分一人で動くよりも、何倍もの効果を得るため
・組織を動かすとは、人を動かす。人を動かすには、否定せずに肯定して、やる気(期待)を高める
・人を動かす4つの方法。財力と権力、期待と恐怖、尊敬と信頼、才能と能力
・人を動かす理念を作るのは、ヒト(人事戦略)モノ(事業戦略)カネ(財務戦略)のうち、人事の仕事0
ヒトモノカネが動いていれば、企業として成り立つ一方、ブラックやフロントではない証として、理念が不可欠
1.行動の理念社員個人の価値観ではなく、会社の価値観で行動できるようにしよう
・「~すべき」「~すべきからず」という具体的で分かりやすい行動規範を作ろう
・「模範ドライバーたれ」のような、大まかな行動方針を掲げよう
・とるべき行動に迷ったとき、どう動けばいいか、判断の基準となる行動基準を作ろう
・たとえば、行動の理念が浸透している運送会社は、警察から表彰される
2.理念の可視化目に見えない理念を、目に見えるように使用
・社章は、企業を、図形デザインで可視化する
・ロゴタイプは、企業を、文字デザインで可視化する
・「あなたとコンビに」のような、企業を一言で表すタグラインを作ろう
・自由な社風だから「私服で勤務」といったユニフォームの統一を図ろう
・身だしなみは個人の価値観に因るため、身だしなみのルールを決めよう
3.経営者の理念すべての理念の源になる経営の理念を作ろう
・経営理念/経営者のポリシーを総まとめしよう
・経営価値/経営する上で最も大切にしている価値を示そう
・経営方針/〇〇分野へ進出など、東西南北どこへ向かって経営するか方向を示そう
・経営展望/こうなりたいと目指す理想郷の想像図を見せよう
・経営思想/企業という集団へ対する考え方を示そう
・経営哲学/このままの経営でいいのかどうか経営思想への懐疑を示そう
・創業理念/創業者が創業した想いを伝えよう
・社是/一社に一つ、大方針のセンテンス
・社訓/創業者や経営者の、教えや戒め
・社是社訓と、経営理念の違いは、広義に違いは無い
・社是社訓と、経営理念の違いは、狭義には、社是・社訓や、経営理念の定義に則っているかどうかの違い
4.企業の理念経営理念をもとに、法人としての企業理念を作ろう
・企業理念/企業体としてのポリシーを総まとめしよう
・お客様への約束/お客様へ対して「〇〇する・〇〇しない」という約束を掲げよう
・企業憲章/コンプライアンス(法令順守)、コーポレートガバナンス(企業統治)等を宣言しよう
・企業展望/経営展望に沿った理想郷の想像図を見せよう
・プライバシーポリシー/プライバシーの取り扱い方を明言しよう
・ソーシャルメディアポリシー/インターネットに書き込んで炎上しないようルールを定めよう
第3章 事業戦略経営戦略は、ヒト(人)モノ(物)カネ(金)の三つ
モノ(物)の事業戦略は、誰に?何を?どうやって?の三つ
・ 事業戦略は「誰が買う?」「何を買う?」「どうやって買う?」の三つ
・誰にる?顧客戦略/商品の価値観を認める人は買う。認めない人は(今は)買わない
・ 何を売る?商品戦略/お客様は、商品が欲しいんじゃなく、商品で得られる結果が欲しい
・どうやって売る?営業戦略/営業戦略は、経営者の思想を表す
・何のために売る?お客さんは、あなたの給料のために、お金を払うのではない
・味方を増やす事業戦略/味方とは、顧客、利害関係者、支持者の3つ
第二部 顧客戦略誰に売る?
顧客戦略/お金を払ってくれる人だけがお客様に非ず
・会社の維持に必要な顧客数は何人(何社)か把握して、その数を維持しよう
・誰に売りたいか?よりも①誰が買うか?②なぜ買うか?③その人(企業)はどこにいるか?買う立場で考える
・なぜ顧客を維持できないか?[1]代金を受け取り済みだから(金の切れ目が縁の切れ目だから)
・なぜ顧客を維持できないか?[2]顧客の維持にカネ(営業経費)はかからないと思っているから
・なぜ顧客を維持できないか?[3]本業以外の手間ヒマ(時間と労力)がかかって面倒だから
・なぜ顧客を維持できないか?[4]既存維持よりも、新規開拓のほうが、早くカネ(売上)になるから
・なぜ顧客を維持できないか?[5]お客様の事情で、必ず減るから
第4章 直接客直接客とは、お金を払う、あるいは、払ってくれたお客様
3-1潜在客潜在客とは、いつか、お金を払ってくれる可能性があるお客様
・すぐに売れない商品がある。関与度が高い商品(たとえば高額商品)ほど、検討する時間が長く、潜在期間も長い
・すぐに売れる商品がある。関与度が低い商品(たとえば弁当や飲料)ほど、検討する時間が短く、潜在期間も短い
・潜在客には、すでに需要があり、いつか、現在客になる可能性が高い
・ 潜在客との長期接触は、いつ売れるか分からない商品を売るのに適している
3-2現在客現在客とは、お金を払うお客様のこと
・どこの企業も、現在客のみ狙っている(1年後や3年後にお金を払うかも知れない潜在客は放置)
・現在客のみ狙うと、いつか買うかもしれない潜在客が、いつの間にか、ライバルに奪われてしまう
・現在客が、次回も買う保証はない。次回も買うように仕込む戦術例(預かり戦術/接触戦術/プレゼント戦術)
・お金を払う現在客は、100%、体験客になる
3-3体験客体験客とは、買った体験があるお客様のこと
・買ったことがあるから、満足度を測定できる
・買ったことがあるから、リピーター(優良顧客)になりえる
・買ったことがあるから、口コミ等で、支持者になりえる
・買ったことがあるから、紹介者になりえる
第5章 間接客間接客とは、お金は払ってくれないものの、ご新規を紹介してくれたり、クチコミで推薦してくれる味方(メディア等を含む)
3-1紹介に勝る新規営業活動なし。紹介は、最強の新規営業活動。紹介者を増やすべし
・飛び込み営業で新規が決まる確率はコンマ数%。紹介で新規が決まる確率はほほ100%
・紹介してくれるように働きかけるプッシュ型の紹介と、自然に発生するプル型の紹介
・黙っていても、お客さんが自然に増えていくプル型の紹介とは?
・プッシュ型の紹介で、紹介者を増やすには、インセンティブが必須
・紹介者(間接客)は、現在客(直接客)に勝る(場合もある)
・紹介者は社内にもいる。営業部のみならず全社を挙げて紹介者を増やす戦略
・どこに潜んでいるか見当つかない新規のお客様を発掘できる紹介
・紹介の連鎖で次から次へと新規のお客様が増やすプルタイプ紹介
3-2媒介者メディア関係者は、社会との媒介者
・メディアがメディアを呼ぶ!記者、プロデューサー、編集者などの媒介者は、マスメディアとのかけ橋
・メディア関係者を顧客と見なす二つの理由「メディア関係者は超多忙」「パブリシティ獲得は新規営業活動も同然」
・プロデューサーよりもADさんを大切に、編集長よりも編集さんを大切に、現場で働くスタッフを大切にすべし
3-3仲介者は、代わりに売り買いしてくれる人
・ユーザー自身が買うとは限らない。お菓子を食べるのは子供でも、買うのはお母さん
・誰かのために買う商品を作ろう!誰かのために買ってあげる人も、お客様
・報酬を明示して、代わりに売ってくれる人を増やせば、人件費なしで営業マンを増やせる
第6章 顧客七階層優良顧客が増えれば、売上も増える。優良顧客を頂点として、お客さまは七つの段階に分かれる「顧客七階層」
・お客様は、十把ひとからげではなく、七段階のお客様がいる
・七段階のお客様は、階層(ピラミッド型の段階構造)になっている
・一番下の未来客から、一番上の最優良顧客になるまで、時間の概念は無関係
・頂点に位置する優良顧客(と最優良顧客)が売上の70~80%を占める
・優良顧客は大事なので、利益を還元するなどして、特別扱いしよう
・少数の優良顧客に偏よることなく、顧客の母数を増やそう
・たった一回きりの新規客は、顧客にあらず。新規客を、顧客化しよう
第7章 価値満足商品の価値は何か?顧客を満足させるよりも先に、価値を示して、価値で満足させれば、顧客満足は後からついてくる
・顧客満足は、有形の商品と、無形の対応で決まる(顧客満足マトリクス)
・クレームになる前に、お客様が離れていく沈黙帯(サイレントゾーン)がある
・本音は怒りになって表れる。クレームの中から本音を探そう
・クレーム処理は、時間との勝負。一分一秒でも早く、会いに行こう
・顧客へ臣下の礼を取るべからず。顧客と企業は社会の一員として同等
・顧客満足度は数字で可視化できる。既存客にアンケートを取ろう
・お客さんの声を聞くアンケートの作り方(SA、MA、FA、SD、リッカート、ビジュアル、マトリクス)
・顧客満足が高い企業(DisnyやRolls)には都市伝説がある/あなたの会社の都市伝説を作ろう
第8章 相対的戦略絶対的な価値は主観。相対的な価値は客観。お客様は、変わる・飽きる・買わなくなる
・お客様は、変わる。お客様の変化にアンテナを張ろう
・お客様は、飽きる。絶対的な価値と、マンネリは紙一重
・絶対的な価値の押し付けは危険。価値観は、お客様一人一人によって異なる
・絶対的な価値は、ライバル次第で、絶対的な価値ではなくなる
第三部 商品戦略何を売る?商品戦略の本質論、価値論、選択論
・お客様は人であり、人は欲で動く
・欲の解決(欲求+解決)が、商品の本質
・本質は、価値(商品)になり、価値は価格化できる
・価値が高ければ、高く売れる
・お客様は商品(価値)を選び、選ばれた商品(価値)が売れる
・選ばれるには、正しい接触の連続あるのみ
第9章 本質論お客様は、商品が欲しいのではなく、商品によって得られる成果(いいこと。メリット。ベネフィット)が欲しい
・欲求+解決=本質。お客様の欲求を探って解決を考えよう
・本質(欲求+解決)は、目に見えない
・用途+商品=物質。
・物質(用途+商品)は、目に見える
・他人には言いたくない本質(欲求+解決)がある
・自分では気づいていない本質(欲求+解決)がある
・できるだけ負担の少ない解決を好む(安い、早い、近い、つらくない、面倒くさくないetc.)
・不便逆説とは?不便なものを便利に。高いものを安く。遅いものを早く。面倒なものを面倒くさくなく
・人は、期待(喜び、楽、楽しさ、得)を代価で贖う
・人は、恐怖(困っている、面倒、苦しい、諦め)を代価で贖う
第10章 価値論人は、欲を叶えるために、持っている金銭と、持っていない商品を交換する。お客様とは価値を認めてくれる人
・価値は、人によって異なる。価値とは、その人にとって大切なもの
・伝える順序は、価値が先(定性/長時間)で、価格は後(定量/短時間)
・付加価値も商品のうち。「〇〇だから美味しいと思った」〇〇にフォーカスして価値を見つけよう
・身近にある価値を提案しよう。価値は、青い鳥のように、身近であればあるほど、気づきにくい
第11章 価値提案商品と値段を提案する前に、商品の価値を提案すべし。価値が高ければ、価格が高くても売れる
・人は、何を買いたいか、分かっている
・必要…「どうしても必要だ」と、必要とされるもの
・要求…「どうしても欲しい」と、欲求を覚えるもの
・人は、何を買いたいか、分かっていない
・技術…「世の中になかった」新技術によって作り出されるもの
・覚醒…「それが欲しかった」と、必要あるいは要求を呼び覚ますもの
・用途を提案すべし/どのように使うのか分からなければ、お客様は買いようがない
・結果を提案すべし/買った結果が魅力的なら、買いたくなる
・TPOを提案すべし/商品の価値は、時間と、場所と、場合によって異なる
・ 便益を提案すべし/早いのか、気持ちいいのか、お客様のメリットを提案しよう。
・無料を提案すべし/効果を実感してもらおう
・一番の売りは何なのか?10秒・50文字で説明できるように準備しておこう
第12章 選択論選ばせよ。売り込まなくても、選ばれれば、売れる
・ 値段で選ぶ。ライバルよりも安く売ろう
・ 比べて選ぶ。競合品との違いを比較して見せよう
・ 理由で選ぶ。人は、考えるのが意外と苦手。買う理由を考えてあげよう
・ 用途で選ぶ。どのように使えるか教えてあげよう
・ 商品で選ぶ。その商品でなければならないメリットを短く伝えよう
・ 時間で選ぶ。関与度が高い商品は、売れる時まで待とう
・ 場所で選ぶ。売れるチャネルへ持っていこう
・ 効果で選ぶ。試させてあげよう
・ 口コミで選ぶ。レビューを付けよう
・ 信頼で選ぶ。会社や営業マンの情報も豊富に届けよう
第四部 営業戦略 どうやって売る?知らせて、解ってもらって、勧めて、売る、APSAAIDA(アプサイダ)の符合
新規開拓と、既存維持の営業戦略は、別もの
1 新規の営業戦略は、農・林・水、3つのタイプのみ
・ 農業型…種をまいて、水をやり、実になってから収穫するタイプ。高関与度商品向き
・ 林業型…実がなっている山野を求めて探し回るタイプ。今月来月の売上を伸ばしたい営業向き
・ 漁業型…広告等で一網打尽にするタイプ。トップシェアの企業や、財力がある企業向き
・ 農業型の営業は、人脈重視につき、向き不向きは無し
・ 林業型の営業に必要なのは[1]適性[2]才能[3]勘[4]根性[5]経験
・ 漁業型の営業は、反響営業なので、向き不向きは無し
2 既存の営業戦略は、企業によって、千差万別。ほとんどの企業は、差別化戦略で戦っている(ので千差万別)
・ K社の営業戦略は、営業マンの活動時間を徹底的に管理する時間マネジメント戦略
・ S社の営業戦略は、新規営業はアルバイト、既存営業は社員に任せる短期探索営業戦略
・ 過酷な営業で有名なT社の営業戦略は、営業能力が高い社員のみ残る人海戦術
3 どのような営業戦略を採るか決めるのは、営業社員ではなく、経営者
・ いくら売るか?いつまでに売るか?を命じるのは、財務戦略を立てる経営者
・ 売れるのが、早ければ早いほど、早く入金される(カネになる)ため、早く刈り取りたがる林業型
・ すぐに売れと命じられた営業社員は、高関与度の商品であっても、すぐに売ろうとする
・ すぐに売れと命じられた営業社員は、お客様の喜びよりも、値札の付いた商品を売ろうとする
・ 売上目的になると、単価・数量・納期・件数・利益率の数字が優先され、顧客の数は後回しに
・ いつ売れるか分からない商品の営業戦略は、売れる時まで待つ農業型
・ 農業型を実現する長期接触営業戦略
第13章 接触論 いつ売れるか予測つかない商品を売るのに適した長期接触営業戦略
1 なぜ接触しなければならないのか?七つの理由
・ 見知らぬ人には冷たく接する、単純接触効果
・ 思い浮かんだ商品を買う、想起商品群
・ 最初に思い浮かぶ商品や営業マンが有利。第一想起
・ 3回目で認識し、7回目で興味を覚え、10回目で記憶される、セブンヒッツ理論
・ 人の名前は思い出しにくい、パン屋ベイカーの逆説
・ 一か月後には80%忘れる、エビングハウス忘却曲線
・ 沢山の人へ何度も繰り返し接触することで売れる、リーチ&フリークエンシー
2 接触営業戦略における定義
・ 売上の定義は、お客様の評価。営業マンによって売上高に差が出る原因。
・ 顧客の定義は、弱き味方。お客様は(髪を切る等)自分ではできない弱みを、対価で補う
・ 営業マンは、他人に、お金を払わせる、人を動かすプロ。肯定で動かそう。
・ 営業マンは、経営戦略の最終段階を担う、重要で、誇り高き職責。全社で称えよう。
・ 営業は、無形で無償のサービス業。有形で有償は、商品。
3 セールスフロー「営業と販売との違いは?営業活動は七段階ある。販売だけなら自販機でもできる」
・ パブリシティ機能(告知紹介)…商品の告知。「こんな商品を売っています」と知らせること
・ リストアップ機能(顧客発掘)…見込み客の発掘。再接触に備えること
・ コンタクト機能(接触継続)…①覚えてもらうため ②信用してもらうため ③受注するために接触を繰り返すこと
・ リサーチ機能(問題発見)…見込み客が抱えている問題や希望を見出し、それで正解かどうか確認すること
・ プランニング機能(問題解決)…希望が叶って満足しうる方法を伝えること(主に取扱商品で)
・ セールス機能(販売契約)…商品を渡してお金をもらうこと。
・ フォロー機能(再販機会)…関連商品も売ること。継続受注すること。新規客を優良顧客化すること
4 プロモーショナル・サイクル「セールスフローをサイクル化しよう」
・ 告知(AD) = アテンション(Attention)…知らないものは買いようがない。知らせるには、告知活動を続ける
・ 広報(PR) = インタレスト(Interest)…興味を持たないものは買わない。興味を持たせるには7回の接触
・ 販促(SP) = デザイア(Desire)…欲しくなければ買わない。欲しくなるようにするには、価値を提案する
・ 販売(PS) = アクション(Action)…買い方が分からなければ買わない。買える場所で売る(取引三戦場)
・ 7つの初会接触(面会、電話、伝播、活字、運輸、回線、場所)の得意な方法で、告知から始めよう
5 接触営業を始めよう
・ 営業マンを、質と量に分ける。見込み顧客の数を増やすネームゲッター。商談の数を増やすポイントゲッター
・ ネームゲッター1~3人と、ポイントゲッター1人(リーダー)でチームを組む
・ いちばん安あがりな方法(ハガキ)で接触を続ける(人件費が最も高額)
・ 飛び込み営業なら度胸づけに。スランプ脱出等の初心に帰る方法として。通りがかったついでに。
・ 名刺交換した人へサンクスカードを送る
・ ハガキで価値を提案する
・ 価値を提案する前に、APC(アドバンスドポストカード)で許可を得る
・ 節目のイベント(異動やクリスマス)がある時には手紙(カード)戦術
・ 優良顧客には、差し入れを、プレゼントを、特典を贈って、特別な待遇で、つなぎとめよう
・ 一年間の接触スケジュール(営業カレンダー)を作って全員で共有しよう
第14章 取引三戦場代金が交わされる場所が、戦場。野外戦・攻城戦・籠城戦。見逃している戦場は?
・ 店舗や、事務所に籠もって、来客を待ち受ける籠城戦
・ お客さんが集まる場所へ出向く野外戦
・ 客先へ赴いて営業する攻城戦
第五部 マーケティング戦術 売れる商品を作って、売れるように売る作戦
第15章 マーケティングフロー 社会の求めに応じた価値を創り出すマーケティングフロー
・ クローズデータをサーチしよう。あなたが売るべきものは何か?既存客へ訊きに行こう
・ オープンデータをサーベイよう。本の10冊も読めば詳しくなれる
・ 調査なくしてアイデアなし。予算があれば調査を外注しよう。なければ自分で調べよう
・ 調査結果をもとに、どのような価値が求められているか、仮説を立てよう
・ 仮説を検証し、新しい商品、新しい事業、新しい売り方のアイデアを出そう
・ アイデア フラッシュ/制限を設けずにアイデアを出そう
・ アイデア アウト/(~について50案、〇日までに、等々)制限を設けてアイデアを出そう
・ ブレインストーミング/アイデアを疑おう(次章)
・ 差異性/そのアイデアは、ライバルと何が違うのか?
・ 優位性/そのアイデアは、ライバルに比べて何が優れているのか?
・ 独自性/そのアイデアは、ライバルが持たざるものか?
・ アイデアが絞り込まれたら、その商品は、実現可能か調べよう(フィージビリティスタディ)
・ FSで合格したら、R&S(リサーチ&セリング)を繰り返しながら、試作品を作ろう
・ 水面下で、売れる証拠を作ろう。試作品が売れるまで、R&S(リサーチ&セリング)を繰り返そう
第16章 自分を疑う 自分を疑え!売れる証拠のあるアイデアだけが、売れる商品になる三っつナ「ナゼ?ナニ?ナイノ?」
・ 都合の良い情報のみ集め、耳の痛い言葉や、不利な情報に、背を向けていませんか?
・ 他人も「自分と同じ考えだろう」とか「同じ常識を持っているだろう」と根拠なく決めつけていませんか?
・ 支払った金額の多い情報を有益と見なし、少ない(あるいは無料)の情報は無益と思っていませんか?
・ 欠点や、弱点ばかり見つけてしまい、優れた長所を見逃していませんか?
・ 海へ潜るペンギンを忘れたまま「鳥は空を飛ぶに決まっている」と断じていませんか?
・ 目先のゼニに目が眩み、長期的な利益や発展を見落としていませんか?
・ 結果がすべてなものと、結果がすべてではないものを、一緒くたにしていませんか?
・ 終わったことならば何とでも言えます。つい、愚痴や、反省会ばかりになっていませんか?
・ 会社の発展のためではなく、ご自分の都合のために、プロジェクトを動かそうとしていませんか?
・ ご自分が所属する集団(業界や自社)を高く評価し、それ以外(他業界や顧客)を軽視していませんか?
・ 自分のやり方が正しく、他のやり方は間違っていると思い込んでいませんか?
・ 時代は変わっても、成功体験が通用すると確信していませんか?
・ それは無理だと(総理大臣に頼めば実現するかも知れない)可能性を諦めていませんか?
・ 良し悪しの理屈ではなく、好き嫌いの感情で考えていませんか?
第17章 市場導入しよう 売れた実績を作って、デビューさせよう
・ 本番さながらに売ってみるテストマーケティングで、チャネルを巻き込み(水面上で)売ってみよう
・ 製販在の事業計画書を作ろう
・ 市場導入したら、売り歩こう(プロモーションを管理しよう)
・ 売れている(あるいは、売れていない)原因を明らかにしよう
・ マーケティングは、リサーチに始まり、リサーチに終わる。増産か、撤退か、次の戦略へつなげよう
1300年間、増え続けてきた日本の人口は、2008年をピークに、減少へ転じ、5年間で、約100万人ずつ減っています。人口の少ない県が一つ消える勢いです。
百年後には、明治時代の3000千万人台へ戻る可能性があるとの政府試算も発表されました。
人口の増加を背景に成長してきた日本にとって、開闢以来、体験したことのない未曽有のパラダイムシフト(劇的変化)が起きつつあります。
お客様の母数となる人口が減るのですから、お客様の奪い合いが始まります。詐欺まがいの商法に走る悪質業者も増えています。
人口減少、少子化、高齢化で、減りゆく顧客を奪い合う時代の経営は、顧客を増やすよりも先に、味方を増やす経営戦略。
なぜなら、お金を払う人のみ顧客と見なし、お金を払わなければ顧客に非ずという考え方では、お金は払わないけれども紹介してくれる紹介者や、マスコミに取り上げてくれる記者、ネットでクチコミしてくれる推薦者を逃してしまうからです。
戦後七十年間で、十軒中八軒の豆腐屋さんが消えて無くなった豆腐業界のように、中小零細から淘汰されていくのは、どの業界も同じ。会社を維持し、発展させるには、広く味方を増やし、その中から、顧客を増やすのみ。これまでの、お金を払うお客様のみ狙って、競争する時代ではなくなりつつあります。
本書は、マーケティングの会社を興して、マーケティングの現場に身を置くこと約十年と、その知見を元に、経営コンサルティングで、クライアントの経営の現場に携わること約十五年を費やした筆者が、現場たたき上げの経営理論を、わかりやすく、やさしく、味方をキーワードにひも解きます。
これこそ当社の経営戦略に相応しいという基軸を見つけたい経営者や、大学で教わる大企業向けの経営戦略が、現場に馴染まないと戸惑っている企業人の道しるべとなるでしょう。
味方を増やす戦略とは、いかなるものか、未曽有のパラダイムシフトに順応して勝ち残る経営戦略が、あなたの目の前にあります。
給料が増えないのは、社員の生活を安定させるため(サンプル)
給料を増やしたい。
そう誰しも思っているでしょうし、私利私欲にまみれた経営者を除けば、ほとんどの経営者が、従業員の給料を増やしてあげたいと思っています。
それなのに、給料が増えないのは何故でしょう?
経営は、カネ(資金)が第一だからです。資金(カネ)が底をついたら、企業は倒産します。
カネ(資金)が第一ゆえに、現金の調達と、配分に、経営者は苦労します。
たとえば、商品がなければ、商売になりませんから、商品を仕入れるのに、資金(カネ)は必要不可欠ですし、電話がなければ、お客さんと連絡つきませんから、電話代を払うのに、現金が要ります。
同じように、会社を維持するためには、従業員へ、給与を、毎月一回以上、一定の現金で支払わなければなりません。
そうして、従業員は、毎月、定額の現金を受け取り、生活を維持させられます。
ところが、一旦、給料を引き上げたら、下げるのは困難です。
決められた給料が入ってくることを念頭に生活設計する従業員の暮らしが不安定になってしまうからです。
かといって、給料を上げてほしい要望に応じて引き上げ、仕入れ用の資金を使い果たしてしまったら、商品を仕入れられなくなります。
仕入れのみならず、家賃も、交通費も、水道光熱費も払えず、会社を維持できなくなります。
なので、会社を維持するために、月々、キチンと支払わなければならない固定費のうち、昇給は、後回しになります。
会社を倒産させずに、維持するのが、経営者の責任ですので、カネ(資金)を、どのよう使って、会社を維持していくか、経営者の考える作戦が、経営戦略のうちの、財務戦略です。
経営意識とは?社員とアルバイトの違い
なぜ、財務戦略は、経営者の考える作戦で、社員の考える作戦ではないのでしょう?
一億円を、銀行から借りるのが、一般的な社員の役割ではないからです。
毎月、一定額が振り込まれる給料とは異なり、売上金は、一定ではありませんから、足りない時もあります。
そんな時、銀行からお金を借りる責任者は、会社の代表者である経営者です。
借りた資金を返せなくて、首をくくるのも、社員ではなく、経営者です。
なので、財務戦略は、従業員の考える作戦ではなく、経営者が考える作戦です。
その作戦に、従業員が、建設的な意見を具申するのは結構なことですが、異を唱えるのは越権行為ですから、たとえば、
「給料が安い。増やしてくれ」
と、経営者の財務戦略を否定し、昇給を要求するのであれば、
1 昇給のための資金を自力で銀行から借りてきて会社へ融通するか(投資家や株主として経営に加わるか)
2 転職するか(転職する自由が、従業員には、あります)
3 ご自分の職掌の範囲で、利益を高め、給料が増えて当然にするか?
いずれか?です。
三つ目が、経営者でなくても、経営意識を持つということです。
それ(企業価値の向上)に協力するのが、社員(法人の一員)ですし、協力する必要など無いのが、生活費のために働くパートやアルバイト(非正規)です。
ボクサーや役者になるといった夢を叶えるまでの生活費のために働いているアルバイト、および、貯金や生活費を増やそうと働くパートは、自分の為に働く自由がある代りに、保険や年金といった雇用コスト(福利厚生という第二の給与)が発生しませんし、雇用契約の解除も可能です。
一方の社員には、給料の他に、いろいろな雇用リスクが伴いますし、労働基準法で厚く守られています(解雇四要件により解雇できません。
一方の経営者は株主が解雇できます)から、社員と経営者の役割は同じであるわけがなく、もしも、社員でありながら、会社の維持や成長に協力したくなければ、アルバイトやパートとして雇用契約し直せばいいだけの話です。
ちなみに、派遣社員も、実質はパートやアルバイトと同じです。社員という言葉のマジックに惑わされぬよう。