行動理念の実例をもとにした物語
理念とは考え方のことです(辞書を引いてみて下さい)
十代の常識と、五十代の意識は、親子ほどに違いますので、
「これくらい、わかるだろう」
という思い込みに囚われずに、理解できるかどうか、守れるかどうか、すべての年代の従業員に聞きながら作るとよいでしょう。
目に見えない法人の人格を言葉にして、キャラ立ちさせると、社の個性が際立ち、ライバルとの差別化になり、社会や、まだ取引の無い新規客に信用してもらえて、既存客からの信用も増し、顧客を増やせます。
企業の理念には、
- 行動の理念
- 価値観の理念
- 理念の可視化
があります。その中から、行動の理念について、物語を一つ挙げましょう。
まるで初心者が運転しているようにトロトロ走るスポーツカーの後ろを、運送会社のトラックが走っていました。
スポーツカーのハンドルを握っているのは、女性でした。トラックの運転手は、若い男性ドライバーでした。
トラック運転手は、
「女の運転はヘタだな。それに、若いクセして、こんな高級車に乗りやがって」
と、つい、イラッとして、クラクションを鳴らし、幅よせ(いやがらせ)して、抜き去っていきました。
後日……
運送会社の社長あてに、暴力団の組長から、電話が入りました。
スポーツカーの女性ドライバーは、組長の妻でした。トラックの車体に書かれてある運送会社名を覚えていて、夫(組長)へ話したようです。
社長は、すぐさま、すべての予定をキャンセルし、組事務所へ謝りに行き、たっぷりと、人の道を聞かされて帰ってきました。
帰社するやいなや、顧客満足に価値を置いて経営している社長は、(筆者へ相談して)行動理念を作り、社内へ発表しました。
行動基準…他車優先・歩行者最優先
行動指針…模範ドライバーたれ
行動規範の一例
- 歩行者や、他の車に、迷惑をかけるな。
- 歩行者がいる横断歩道では停車。
- むやみにクラクションを鳴らすな。
- 幅寄せするな。
- ダッシュボードに足を乗せるな。
- 運転席で寝るな。
- 弁当を食べるな。
- タバコを吸うな。
- お客様は、どこかで見ている。
それ以来、この運送会社は、地元警察から表彰される優秀なドライバーの集団になりました。
理念は、危機管理にも、社の名誉にもなる実例です。