(はじめに)顧客十戒には《旧約》と《新約》があります。
このページは《新約》です。
《旧約》は、沢山のサイトや、本に載っていますので、別サイトのほうが客観的に読めるでしょう(このサイトには載っていません)
すでに《旧約》を御覧になった読者さんは、新約との文体の違いに注目してみると、より理解が深まるでしょう。
(はじめに)ここまで
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CGDBD3K1/ref=emc_bcc_2_i/federal-22
顧客 十戒が載っている本
商売は、信用が第一と言われますね?
販売は、売上が第一で、
経営は、資金が第一です。
では、マーケティングは、何が第一でしょう?
顧客(リピーターや紹介者になるお客様)が第一
です。かのドラッガー教授いわく、
There is only one valid definition of a business purpose: to create a customer.
『ビジネスの目的は、顧客を増やすことのみ』
(直訳)『ビジネスの目的として存在する確かな定義は、ただ一つ。顧客を創造することである』
と述べていますし、マーケティングの神様と呼ばれるコトラー教授も、
We see marketing management as the art and science of choosing target markets and getting, keeping, and growing customers through creating, delivering, and communicating superior customer value.
『マーケティングは、顧客の価値を創り、新たな顧客を得、顧客を維持することである』
(直訳)『標的市場を選んで、顧客を得、維持し、育成を通して、優れた顧客価値を創り、伝えるのが、技術や科学としてのマーケティング・マネジメントであると我々は理解している』
と述べている通り、マーケティングで第一なのは顧客です。
そのマーケティングで第一の顧客が 「どのように思っているか?」 箇条書きにしてみたことがありますか?
お客様の考えを、形式知化する目的で、書き出してみましょう。
※ 形式知 = 文章、図表、数式等、第三者へ伝えられる知識
なぜなら、形式知にするには、客観的に考える必要があるからです(暗黙知は主観で構いません)
ただし、お客様と無関係なセクションでは書き出す必要ありません(投稿者さんの頭が悪いのではありません↓可哀想そうに)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13135643063コンシューマーインサイト(お客様の本音)
《新約》顧客十戒は、《旧約》で使われている敬体(です・ます調)ではなく、常体(である調)で書かれたモノローグ(心の声)です。
敬体を、常体に変えただけですが、いつわりのない本性がむき出しになったような慄き(おののき)を覚えるかも知れません。
その意味で《旧約》を先に読んだ読者さんは、不快にならないようご注意ください。
(ここから始まります)
一。私は、買いたい
買うのは、楽しいし、嬉しい。買わされるのは、苦しいし、悲しい
二。私は、買いたいだけはない
誰が、いつ、何を、どこで、どうするか、買う前から買っている
三。私は、無口
やや満足すれば、黙って、また買う。やや不満なら、黙って、他へ行く
四。今は買わなくても、いつか、買うかも知れない
その時まで待つか、待たずに縁を切るかは、あなた次第
五。あなたはプロで、私はシロウト
あなたから買って良かったと思うよう、だまさず、正しく導いてほしい
六。私は、あなたの評判を、知っている
日本人の92%がスマホ ユーザーで、75%がパソコン ユーザー
七。もう二度と、買う機会は訪れなくても、私は顧客
新規客を紹介することも、クチコミで伝えることも、私には出来る
八。私は、お金ではなく、お客
あなたの目的が、売上金のみならば、お客様ではなく、お金様を探してほしい
九。お客様は、神様ではない
どんなにお金があっても、売っているものを買わなければ生きられない、 か弱き人間
十。あなたと私の違いは、立場
もし、あなたが、私の、お客様だったら?
もし、私が、あなたの、お客様だったら?
「了」
さて、お客様の本音(インサイト)、いかがでした?
気づきもあったでしょうし、けっこう辛辣な指摘もあったでしょう。
厳しいようですけど、それが現実。挙げようと思えば、まだまだ挙げられます。たとえば(ありすぎるので一つだけ)
いちばん大切なのは命です。その次は財産です。高額な商品ほど、そう簡単に買いません
これは「関与度」について。
高額商品(たとえば家土地)の関与度が高くて、低額商品(たとえば缶入飲料)の関与度が低いのは、誰もが、
命の次に大切なのは、お金(資産)
と思っているからですね?お金があれば、あらゆる経済的価値と交換できますので。
(命や、愛は、精神的価値ですから、お金で買えませんので、経済的価値と切り離して考えましょう)
当然、商品の代価が、高くなればなるほど、支払う苦痛も、高まります。
高額商品(家)を例にとれば分かりやすいでしょう。家を買うのは、わくわく、楽しく、嬉しいですよね?一番目の
「買うのは、楽しくて、嬉しい。買わされるのは、苦しくて、悲しい」
です。人生で最大級の楽しみなマイホームの購入だったにもかかわらず、欠陥住宅を買わされた人たちの苦しみは、言語に絶するそうです。
買わされるのと、だまされるのは、紙一重であることが分かりますね?
五番目のインサイト、
「あなたはプロで、私はシロウト。あなたから買って良かったと思うよう、だまさず、正しく導いてほしい」
と連動していることが分かります。
心の痛みも、体の痛みも、脳が感じる痛みは痛み、一緒です。
痛みを和らげようと、双方とも脳内にエンドルフィンが分泌されます。
その痛みを和らげるのが、商品とは無関係な、
「営業マンの信用」=正しい接触
であったり、
「企業への共感」=理念や社是
であったりします。冒頭ありました通り、
商売は信用第一
ですから、それら(正しい接触や社是社訓)も、お客さんにとって価値になります。
価格が高くなればなるほど、商品の価値は、商品の周辺にもあることが分かります。
顧客十戒の本質は [1]客観 [2]相対的価値 [3]広報
そのように解析していくと、次のような詩に置き換えることができます。
汝、急がば回れ。カネを求めたければキャクを求めよ。客なくしてカネなし
……と、“旧約”のように、インサイトを一つずつ十行詩するのではなく、ここから先は、敢えて割愛し、顧客十戒の本質に迫ります。
なぜなら、既述の通り、挙げようと思えば、八つ(の戒め?猪八戒?)だろうと、十四行詩だろうと、顧客の数だけ、いくらでも挙げられるからです。
その一つ一つをチェックする作業は、戒めの一つ一つを掘り下げ理解するのに有効です。
しかしながら、本質を理解していなければ、いくつの戒めに遭遇したところで、具体化する作業に追われるのみ。
顧客対応が、後まわしになります。
そこで、枝葉としての十行詩ではなく、顧客十戒の本質を明かしますと、
- 客観( vs 主観)= バイアス(たとえば、思い込み)
- 相対的価値( vs 絶対的価値)
- 義( vs 利)※AIDA法則のI(興味)です
の三つ。
- 客観的であること。
- 顧客の価値であること。
- 自販機にはない心があること。
最後に、なぜ《新約》と名づけ、厳しく映る常体で、10カ条を追加したか、もう、お察しになりましたね?
顧客満足の枝葉にあたる十行詩より、顧客満足の本質が需要
です。なぜなら、マーケティングは、お客様が第一ですが、お客様には欲があり、人間の欲は果てしなく、どこかで線引きしなければ、無理難題を突き付けてくるお客様もいます。
その果てしない欲望に応え、顧客満足を高めようと、お客様に臣下の礼をとる必要ありません。
拙著「売り込むな!期待をくすぐれ」に書きました通りです。そこで、最後に十一戒目。
汝、わがままを許し給え。さらなる求めには、追価で応えよ
幸せになる欲を追求するのが、人間。
それに代価で応えるのが、商売。
お客様は神様ですか?
いいえ、人間ですよね?
[完]