その中には、アクセス数が少なくて、困っている会社もあるでしょう。
では、
「サーバがパンクするほどのアクセス数が欲しい?」
BtoCなら、カンタン。
あっ!と驚く話題を提供すればいい
だけです。事例を挙げましょう。2010年のことですから、ご存知の方も多いと思いますが、たった¥109で、- ペットと泊まれる軽井沢のペンション一泊【朝食つき】洋室ツインが109円
- 嬬恋のプライベート美術館に一泊【朝食つき】和室が109円
- 伊豆高原のプチホテルに一泊【朝食つき】洋室ツインが109円
- 湯田中渋温泉郷 温泉旅館に一泊【朝食つき】和室が109円
そのホームページへアクセスしようとしましたところ(日曜日だったタメか)
「ただいま、たいへん込み合っております。誠に恐れ入りますが、しばらく時間を空けてから、ご利用くださいますよう、お願い申し上げます」
とのこと。
サーバーが嬉しい悲鳴
を上げています。その宿泊サイトは、主催社のトクートラベルhttp://www.tocoo.jp/
からリンクされているのですが、一体どれくらいのアクセスが集中しているのでしょう?
少なくとも万単位のアクセスは確実。その事例が、トクー市です。
【プチ情報】現在トクー市のキャペーンは終了した模様です
2.プロモーションMIX
旅行が109円ぽっきり!まず、この価格に驚きます。
この「有り得なさ」が重要です。
トクートラベルのトクーを語呂合わせして¥109にしたのでしょうが、¥109では主催社も宿泊施設も赤字でしょう。
では、ナゼこのような宿泊プランが可能なのでしょうか?
主催社のサイトを隅々まで見てみると、価格戦略とプロモーション戦略が見えてきます。
そのマーケティングMIX(価格戦略とプロモーション戦略)事例を分析してみましょう。
広告と販促と広報がミックスされた見事なプロモーション
定価の客単価は¥10,000弱ですから、わかりやすく¥10,000とします。販売価格は、¥109とはいえ、事実上タダだから、一人につき¥10,000の売上損になります。粗利損で30%の\3,000といったところでしょうか。
コスト\3,000と考えれば分りやすい。つまり、たった\3,000のコストでキャンペーンを展開している点に注目。
プレゼント・キャンペーン
これを、\3,000のプレゼント・キャンペーンと考えてみればどうでしょう?仮に、10名限定ならば、わずか\30,000のコストで、¥109というインパクトの大きなキャンペーンを展開していることになります。
パブリシティ(PR)効果
インパクトの大きなキャンペーンは、記事になります。パブリシティです。この費用対効果が最も大きいはずです。
\30,000の広告枠では不可能な大規模な露出が可能になります。
実際、筆者が当該サイトを知ったのは、Yahoo!ニュースでした。
確か、Yahoo!ニュースはペイドパブを受け付けませんから、たった\30,000で、Yahoo!ニュースに載るなど不可能。
旅行会社と宿泊施設のコラボレーション
主催社のトクートラベルがキャンペーンを広告してくれますし、宿泊施設のサイトでもキャンペーンを広告できます。以上4つのマーケティングMIXの結果、旅行会社のサイトには、アクセス不可能なほど集中しています。
宿泊施設は、商品(自分の所の旅館やホテル)に自信を持っているでしょうから、マーケティングが見事に連動している事例です。
では、\30,000の損をどう考えれば良いのでしょうか?
きっと、プロモーション経費と考えているのでしょう。広告費といえば分りやすい。今日び3万円の広告費で何ができますかというと、せいぜいPPC広告くらいでしょう。
それが、たった3万円の経費で、PPCでは実現不可能なアクセスを実現できるのです。
繰り返しますが、マーケティング次第で、たった3万円の広告費で、アクセスが集中するプロモーションが可能になります。
3.トライアル・オファー
次に、戦術を見ていきましょう。いつでも109円で泊まれるわけではありません、¥109で宿泊できる月日を指定しているということは、「空けておくくらいなら、体験がてら、泊まってもらおう」
という狙いが潜んでいるはず。
デッドライン(限定)効果
ただし、夕方のスーパーの値下げ品のように、空室が出るたびに¥109になる習慣が定着してしまうと、¥109狙いのリピーターが増加するため、- 人数(部屋数)限定の
- プレゼント
にしていると分析できます。表では
「¥109で泊まれる」
インパクトのみ出していますが、その裏には、プレゼントとデッドラインとトライアルが複合しているはず。
トライアル(お試し)効果
トライアルとは、お試し。体験宿泊です。体験宿泊で検索してもらえれば、うんざりするほど出てくるので、検索してみて下さい。この手法は、ホテルや旅館、別荘のみならず、入居者を募集しているアパートや、マンションにも使えるでしょう。
体験させることで、1週間でも1ヶ月でも住んでみて、ロケーションや周辺環境を知りたいニーズに合致すれば、強力な販促になり得ます。
このプロモーションにおける戦略目標は、儲からなくてもいいから一度は来てもらい、実感することで
「また来たい」「また来よう」と思ってもらうこと。もちろん「また」の機会には定価で(笑)
何より宿泊客が、自腹で交通費を支払い、時間を費やし、自ら腰を上げて来訪してくれるのです。
一度でも体験すれば、繰り返し易くなることは、店舗のプロモーションを例示するまでもなくご理解できるでしょう。
【プチ情報】2010年7月現在、最安値109円は継続している模様です
4.弱者の戦略
仕掛けたトクートラベルは、J○Bや、近○リのような巨人じゃありません、はっきりいって弱者です。その弱者が、これだけの戦略をやってのけています。
弱者の戦略といっても、ランチェスター戦略とか、そんな軍事戦略を持ち出すまでもありません。
トライアルオファー、パブリシティ、プレゼント・キャンペーン、リピート促進、デッドラインエフェクト、リードジェネレーション、イヴォークドセット(想起商品群)…
こうしたマーケティングの戦略戦術をMIXして駆使した企画が“一泊109円トク市”と筆者は分析しました。このサイトを御覧になるほどであれば、このマーケティング事例に潜む戦略戦術など、知り尽くしたことばかりだったでしょう。
知り尽くしたことばかりということは、あなたにもできます。
異業種の成功事例を他業種が取り入れる
のは、マーケティングの常道。決して“一泊109円トク市”を猿真似するように勧めているのではなく、その根底に流れるマーケティング戦略を取り入れるように勧めています。
なんといっても、インターネットの優位性を活かしたサイトを作り上げ、このサイト自体が「訪問者を呼ぶ商品」になっています。
この戦略を立てた人は、マーケティング戦略の実務家だと思いました。
もちろん、知り合いを持ち上げるちょうきん記事じゃありませんよ(笑)、トクートラベルに知り合いはいませんので。