マーケティング戦略にはヒト・モノ・カネのうち人事と財務がない
経営戦略は、ヒト・モノ・カネを動かして利益を追求する、経営者の作戦
マーケティング戦略は、売れる商品を作って、売れるように売る作戦です。
経営戦略は、ヒト・モノ・カネ、すなわち、人材・製品・資金を動かして利益を追求する、経営者の作戦です
なので、経営戦略と、マーケティング戦略は、営利追求という目的で一致します。
利益を追求するために企業は、ドロボウするのではなく、商品を売ります。
商品、すなわち、モノです。モノには、製品、資材、流通が含まれます。
無形のサービスも、商品という意味で、モノです。
経営戦略は、
- 人事戦略(ヒト)と
- 財務戦略(カネ)と
- 商品戦略(モノ)
の三本柱ですが、マーケティング戦略には、
人事戦略(ヒト)と財務戦略(カネ)が含まれない
のが特徴です。ぶっちゃけ、資金の一億円を銀行から借りるのは、マーケティング部の皆さんではありませんね?
その、資金を用意する財務の責任も一般社員にはありません。
たとえ、借りられなくて、給料を払えなくなる責任も、仕入れ代を払えなくなる責任も、すべて、経営者の責任です。
その反対に、その責任を果たしている経営者は、高給を受け取る権利があります。
それが、経営者と従業員、雇用者と非雇用者の違いです。
経営戦略とマーケティング戦略は二律背反する
ところが、ヒト・モノ・カネを経営資源とする昔ながらの経営戦略ですと、経営戦略とマーケティング戦略は背反します。
なぜなら、上位に位置する経営戦略と、下位に位置するマーケティング戦略の第一義が、それぞれ異なるからです。
経営は資金が第一で、マーケティングは顧客が第一
だからです。かのドラッガー教授も、
「企業目的の定義は一つしかない。それは、顧客を創造することである」
There is only one valid definition of business purpose to create a customer.
と遺している通り。
(business purposeを、事業目的と訳しても、商売目的と訳しても、ビジネス目的と訳しても構いません、理解しやすいように意訳して下さい)
マーケティングは、顧客が第一ですから、顧客を増やそうとします。
経営は、資金が第一ですから、商品を売って、資金の元となる売上や利益を増やそうとします。
その経営と、マーケティングの位置関係は、経営 > マーケティング、つまり
マーケティングは経営に含まれる
ゆえに通常の経営者は、マーケティングの第一義である顧客より先に、お金(売上、利益、資金)を増やそうとします。
この第一義の違いに、
商品を中心に売ると売上が増えなくなる
という矛盾があります。図式にしますと、
経営戦略 > マーケティング戦略 > 営業戦略
に対し、
経営戦略 > 営業戦略
になるからです。いったい、なぜ、経営戦略と、マーケティング戦略は、矛盾するのでしょう?
答えは単純。
売上は、顧客に付いてくる
からです。なので、
「売上の数字より先に、顧客の数を増やせ」
と命じるマーケティング志向の経営者でしたら、営業部門は、動きやすいはずです。
お金が相手ではなく、人が相手ですから、信頼を高めることのみ専心でき、営業マンもやりがいがあるでしょう。
[完]