経営戦略の定義は百花斉放で、
- 組織の中長期的な「方針や計画を指す用語」という解釈もあれば、
- 経営の基本目標を実現する「事業活動の指標」という解釈もあれば、
- 経営理念を具現化するための「具体的な方法論」という解釈もあれば、
- 3C、5F、SWOT、差別化、集中化、コストダウン等
「これぞ経営戦略」という定義はなく
(学問上では、あるかも知れませんが)「当社の経営戦略はドミナント戦略」も正しければ、「当社の経営戦略はM&A」も正しいようです。
要は、経営が順調であれば「これが当社の経営戦略」と言えるのですから。
しかし、それでは「経営戦略は企業ごとに異なる」もので「定義は存在しない」ということになりますから、強引に、且つ、分かりやすく端的に、経営戦略を定義しますと、
経営戦略は、企業の営利を追及するために、経営者が立てる作戦
のことです。経営戦略は、戦略ですから、作戦、つまり、勝つために立てる「策」のことです。策ゆえに経営戦略は、企業ごとに異なります。
これが戦略ではなく、計画ならば、
経営計画
になります。経営戦略と経営計画は似通っていますが、経営計画書はあっても、経営戦略書が無いように、経営戦略は、経営計画のような、戦術(具体的展開案)まで落とし込まれる以前の概念(考え方)に過ぎず、数値目標のような具体性はありません。
さらに、戦略ではなく、方針ならば、
経営方針
になります。経営方針は「この方向で経営していく」と経営陣が示した方向性のことです。
企業の方針を指し示した社是と似通っていますが、変わるはずのない社是とは異なり、経営方針は、
経営者が変われば、経営方針も変わる
可能性があります。経営方針を巡る争いは、某社を例示するまでもなく、同族経営に多いようですね。余談ですが、社是は、国是のように「これだけは絶対に守り抜く」という唯一無二の大方針のことで、現在の日本では、非核三原則が国是ですし(1978年国会決議採択)、江戸時代の国是は鎖国でした。
ただし、同じ国是とはいえ、罰則のない非核三原則に対し、鎖国は国禁でしたから、最高刑で死刑が適用されました。
また、戦略ではなく、用語ならば、
経営用語
(=経営上、使用する単語)になりますし、戦略ではなく、指標ならば、経営指標
になります。経営指標は、経営を評価したり、経営判断するために指し示す標(しるし)ですから、たとえば
「上場を目指す」
ことも経営指標(経営判断するための標)になると考えられますが、現実には、財務指標を、経営指標と呼ぶことが多く、それならば、経営指標とはいわず、財務指標といえば紛らわしくなくて良い(経営イコール財務の誤謬を犯さずに済む)と思うのですが、筆者、経営学を学んだことがありませんので、経営指標と、財務指標の違いをご存知の方がいらっしゃったら教えて下さいね。
要するに、経営戦略とは、人、物、金を動かして、会社を維持するために、できれば成長させるために、経営者が立てる作戦のことです。