ユニクロの成功はマーケティングの成功
- ジーンズ
- 革ジャン
- カーディガン
- 下着
商品 価格 流通 販売の連鎖◇ユニクロの成功はマーケティングの成功
衣服へ対するインサイトとは?
女性のインサイトとは何でしょう?
女性は、財布の許す限り、いくらでも- 服を、
- 靴を、
- バックを、
- 帽子を、
- 下着を
女性の欲求とは何でしょう?
一般論として、美ではありませんか?- 美しくあることが生きがいであり
- 美しくあることが勝利であり、
- 美しくあることが善
- どんなに散財しても、
- どんなに痛くても、
- どんなに苦しくても
- 涙ぐましいとも、
- いじらしいとも、
- 執念深いとも
女性が家で着る家着に美しさは二の次
- 着るにしても楽で、
- 脱ぐにしても楽で、
- 洗って干すにしても楽で、
- 収納するも楽という、
美より、楽であることが本音
です。家着のキーワードであり、至上の価値。自宅で着るスウェットが典型的ですよね。家でスーツを着る人は(たぶん)いません。- 寒くても着る
- 暑くても着る
- 苦しくても着る
- 痛くても着る
- 家で洗えなくても着る
- 収納場所がなくても買う
その中間に位置する、家で着られる外出着
- 「家で楽に着られて、外出できる服が、あるといいなあ」
- 「外で着られて、家でも着られる服が、あるといいなあ」
相反する欲求が衣服へ対する女性の本音
家着と外出着の中間服(インターレベル・ウェア)
女性のインサイトを叶えた中間服
- ひざが抜けたり、
- よれよれになったり、
- 擦り切れやすい
- 色違いも欲しかったら、気兼ねなく、2着買える。
- 買い換えられるということは、財布の痛みを感じずに、流行を取り入れられる。
- 美の追求という欲を満たせて嬉しい。楽しい。
ユニクロへ行けば買いたい欲(購買欲求)を満たせる
在庫が無い
弱みを強みへ変える逆転の発想
- 「売り切れないうちに買わなくちゃ」
- 「いつ無くなるか心配だからいま買っちゃおう」
時間的差別価格
購買動機が作用し、平日でも下見
来店してしまえばユニクロのもの
- 「無くなるかも」
- 「他の人が買ってしまうかも」
- 「土日まで待てない」
- 「今すぐ欲しい」
商品と、価格と、流通と、販売が、連鎖
ユニクロは、楽しさも提供
通信販売には真似のできない優位性に
- ユニクロで働いていたといえば、どこでも採用される人材になる
- ユニクロを辞めても、どこへ行っても通用する、接客のプロになる
- 会社のためではなく、自分のために仕事する
という教育なのかも知れません。嫌々では、あの自然な明るさを作り出すのは難しいでしょう。
さて、主題は尽きました。以下、余話として。
ユニクロの弱点「ユニクロは国民服」が海外で通じる?
ここまで、ユニクロの長所ばかり取り上げてきたため、ユニクロの回し者と思われては心外につき(笑)、ユニクロの弱点を挙げて、レポートを締め括りましょう。
前述の通り、日本人には、家着と、外出着を分ける習慣があります。
波平(サザエさんのお父さん)も、帰宅すると、丹前(浴衣?)に着替えます。
この習慣は、玄関で履物を脱ぐ日本ならではの畳文化が背景にあります。
一方、欧米、南米、中近東、アフリカ諸国、オセアニアでは、靴のまま家へ入り、カウチに座り、ベットに寝転びます。
もし、ユニクロのエポックメイキングが、筆者分析の通り、インターレベル・ウェアだとすると、外出着と家着の区分が曖昧な諸国で、ユニクロは、受け入れられにくいかも知れません。
ユニクロは、英国、中国、米国、香港、韓国、フランスと海外進出してきましたが、日本のような大成功を収めているのでしょうか。(ブランド化を目的に出店しているのであれば話は別ですが)
日本は、他国の文化を取り入れて改良し、似て非なるものに仕立て上げるのが得意で、それを、国民も、すんなり受け入れます。
一方、他国は、頑(かたく)なに伝統を守ります。ウィスキーを守るため、ウイスキーを作る法律があるくらいです(日本は酒税法のみ)
そう考えると、ジーンズでありながらもジーンズではないジーンズの価値が、他国民に認められるでしょうか?
それに加え、日本人は、自分だけ突出するよりも、周囲と同じ価値を好みます。そうした日本と他国の文化の違いを踏まえて考察すると、柳井会長兼社長が仰る「ユニクロは国民服」が海外で通じるでしょうか。文化の壁を乗り越え「世界服」になっていくかどうか、これからも観察させて頂きます。
ユニクロの研究[三部作]了