1.間違いだらけのアポ取り電話
あなたの許へ、突然、見知らぬ誰か(たとえば、このサイトの運営者)から、新規営業のアポ取り電話が、かかってきたとしましょう。「マーケティングの導入を支援している会社の者ですが、面会のお約束を頂きたく電話しました」
さあ、どう答えます?このサイトを読むほどのあなたであっても、「マーケティングの導入を支援?それは願ったり叶ったりだ。是非とも会ってくれ」
と答えますか?違いますよね(笑)
よほど興味が無い限り、
「忙しいんで、資料を送っておいてください」
の一言で終ってしまうでしょう。
しかし、もし、少しでも興味があれば、
「具体的に、どういうことですか?」
と更に詳しく訊き、そこで興味が湧けば、やっとのことでアポイントに繋がるし、興味が湧かなければ
「いりません」
と断るでしょう。断られるのが営業だと思えば、断られて当り前ともいえます。
筆者の創業の頃の体験からいえば、新規の営業の電話アポイントですと、断られるほうが圧倒的に多く、十件中、一件アポになれば良し。10 vs 0で普通でした。
あなたも、これと同じような電話アポイントの取り方では?
2.興味が薄い商品の営業マンからアポイント電話がかかってきたら?
当時の筆者と同じだとしたら、重大な知識が欠落しています。人は最も自分に興味がある
(by小笠原正二)ということです。あなたも、他人より、あなた自身に最も興味があるでしょうし(当たり前ですよね)、
お客さまも、お客さま自身に興味がある
ということで、興味が無ければ、顧客は、見知らぬあなたが、何の営業だろうと、全く関与するところではありません。ようするに、門前払いです。
あなたも、顧客の側に回ってみれば、身にしみて理解できようというもの。
興味が薄い商品の営業マンから、アポイント電話がかかってきたら、会う約束、するでしょうか?
会いませんよね。
では一体、営業活動は、どう活路を見い出せはよいのでしょう?
3.電話アポイントが向く商品と向かない商品がある
拙著「あなたが会社の利益を殺す犯人だ?」を探しに探して買った喜びのメールを寄せてくれた読者(古谷さん)へ御礼の意味を込めて、仏具業界を例に取り上げてみましょう。あなたが、仮に、仏具を販売していたとしましょう。仏具の営業マンです。
当面の販売先は、寺の住職と決めて、営業活動を展開。
もともと、お寺の数は、多くありません。
しかも、電話アポイントが取れません。
しかし、アポイントが取れなくても大丈夫、アポイントの取り方を知らずにいるか、そもそも、営業におけるアポイントの戦術的利用法の本質について、理解に乏しいからです。
まず与件整理から始めましょう。
よほどの大寺院でも無ければ、寺の住職がサラリーマンだったり、会社を経営していたり、平日は他に仕事を持っている事実をご存知でしょうか?
- 月‐金は、勤務先へ出かけているから、電話アポイントが難しい。
- 土‐日は、法事がつまっているから、電話アポイントが難しい。
敵を知り 己を知れば 百戦危うからず …相手を知らずしては戦いになりません。
しかし現実には、相手のことを知ろうともせず、目暗滅法に電話アポイントを取る現実が多いのです。
4.なぜ電話で会いたいと申し込んでくるのか?
アポイントを取るという営業戦術を考えてみて下さい。一日24時間一年365日の中で、あなたが電話した何月何日何時何分何秒の瞬間、ちょうどよく、あなたの商品を買いたいと思っている人に出会う確率は、何%くらいでしょう?
- 50%?
- 10%?
- 3%?
- 1%?
よく「千三つ」といわれるように、だいたい、0.03%以下でしょう。
この0.3%を拾い集めて、がむしゃらに営業している優秀なセールスマンもいますが、普通はの営業マンには、ムリですよね(苦笑)
普通はムリなセールスマンが、優秀な営業マンになりたくて勉強している(このサイトを読んでいる)のと違います?
いいですか?相手のことを知らずに
適当に電話した瞬間「買う」と決まるのは奇跡に近い
のです。まずは会いたい相手のことを知りましょう。情報です。そこが第一歩です。今この機会に考えてみて下さい。
「あなたのことは何も知らんけど、とにかく、売りたくて電話しました」
と、あなたのことを何も知らずに電話してくる営業マンと、
「あなたのことは充分に知っています。その上で、あなたに有益なお話があって電話しました」
と、あなたのことを充分に知り尽くして電話してしてくる営業マンでは、あなたはどちらと会いたいでしょう?
もちろん、あなたの事を知って電話してくる相手に興味を持つでしょう。それが人間心理。
たとえそれが、「なぜ知っている?」という不信感であっても、です。
ですが、ピンポイントに会いたい理由を述べ、納得してもらうには、相手を知る以外にありません。
[閑話休題]
このページを読んだサイト訪問者から「自分のことを知っているなんて、不気味だから、そんな人とは会いたくない」
とのコメントを頂いたことがあります。
そういう人もいるでしょう。人の価値観は、千差万別で、いろいろな人がいますし、物事には、必ず、例外があります。
しかし、よくよく考えてみて下さい。
そうしたネガティブな(否定的に考える)人からは、アポイントが取れにくいものですし(事実「会いたくない」という否定コメントを寄せています)し、
たとえ、アポが取れて会っても、どこかの過程で、否定され、営業活動が頓挫し、受注しにくいはずです。
つまり、そのようなネガティブな人を、移動時間と、面会時間を使って会う前に、予めハジくのも、アポ取りの目的です(これをリスト・イレーシングといいます)
5.一件電話して一件アポを取るほうがいい商品もある
相手を知らずに、片端から電話帳をめくって電話しても、効果が薄いことは、身をもって知っています。電話帳を基に、1日100件電話して、アポイント1件。
そうしなければ、売れない商品があるのは現実です。
声をからして嫌な思いをして電話しまくっても一日一件。
声をからさず、嫌な思いをしなくて電話しても一日一件。
ならば、インターネット等で会いたい相手を抽出し、調べまくり、会いたい理由を明確にしてから、10件電話して、一日にアポイント1件の方が、有効に時間を使えますよね?
つまり、一件電話して、一件アポイントが取れればいいのです。
電話する数を競っているのではありません。アポイント(会う約束)の数が勝負。
前もって相手を知ることによって、相手が興味ありそうな事象に遭遇するはずです。
そこが会話の接点になります。
檀家を大事にしている住職だったら、檀家と知り合い、檀家を経由して紹介してもらえばいいんです。
布教活動に熱心な住職だったら、早朝の法話なり、日曜学校へ行って、講話のあとに相談すればいいんです。
売りこむのではなく、相談するのです、「あなたに相談したい」と。
また、寺院には、住職の留守を預かる坊守(宗派によって呼称が異なり、大黒と呼ぶ場合もありますが、要するに奥様)がいます。
ならば、坊守に会って、住職へ繋げてもらってもいいでしょう。
留守中の寺院における権限は、住職に匹敵する決定権を持っている坊守さえいます。
将を射んとすれば先ず馬から。これが営業におけるアポイントを取る方法。
6.興味の喚起、ただ一点!これが営業アポイントの取り方
前出の方法は、依頼形式です。お願い、つまり相手にメリットが乏しい場合に使えます。
新規営業の初期段階は、売る側のメリット(売上)だけを期待して営業活動しているのが現実解でしょう。
しかし、依頼形式には限界があります。
メリットが少なければ興味も失せます。
そこで、依頼形式のみならず、交渉形式も用意しておきましょう。
檀家の例でいえば、檀家と知り合いになるために、石材、生花、葬儀社等と提携するよう交渉するのです。
お互いにメリットがあるプランを持ちこみ協力体制を作り上げるのです。
拙著で説くところの「提携して売れ」です。
石材(生花、葬儀社等)→檀家→住職というフローを構築するのです。檀家が顧客になる可能性もあり一石二鳥です。
次の例でいえば、あなたが「説法セミナー」をプロデュースし、講師にとして登録しておくよう交渉しましょう。
セミナー会社や通信教育会社等とも交渉し「説法セミナー」実現の場を確保するのです。
説法好きな住職には魅惑の提案になります。ギャラという臨時収入も入ってきますしね。
実現の暁には、布教活動に協力してくれるパートナーとして感謝されるとともに、あなたの仏具も取り計らってくれるでしょう。
どのようなカタチであれ、何より先に相手のメリットを訴える営業にするといいでしょう。
人は、興味を覚えたとき、自ら動く。その逆に、興味がなければ、無料でも動きません。ここを肝に銘じて下さい。
そのためには、第一接触が電話である必然性はありません。
チラシでも、DMでも、興味を喚起できればいいのです。
置き手紙から始めても構いません。
名刺を置いてくるところから始めたっていい。
電話は、その次だっていいのです。
電話から始めるのが最適かどうか?考えてみましょう。
営業は、興味の喚起、ただ一点あるのみ。これが営業アポイントの取り方です
7.アポイントを取るなら、相手のメリットを示すべし
新規営業は、相手によってルールが異なりますから、依頼形式、交渉形式、企画案等々いくつもの引出しを持っておくと良いでしょう。あるデザイン印刷会社では、チラシを受注するために、筆者が作った「ブッ飛びチラシの作り方」の企画案をファイリングして営業活動に活用していると聞きました。
何のことはありません、筆者が作ったファイルを見せるだけだそうです。
「なんとアイディアが豊富で、懐の深い会社だろう」と強く印象づけられるそうです。有益な営業ツールになっている模様。
余談ですが、筆者の会社へ飛込み営業マンがやってくると、社員を、社長と称して対応させていました。
売りこまれる側の気持ちが分かるからです。
売りこむ側が「売りたい」という自分のメリットだけを先行しているうちは売れにくいものです。それではアポイントも取れにくいはず。
何故なら、顧客は選びたがっているからです。あなたの商品を押し付けられたくナイのですよ。
モノが豊富にある時代だからこそ、消費者は選択者になりました。
あなたの商品(や商品を使った用途提案)によって、相手が享受できるメリットを知ってもらい、興味を喚起したとき、道は必ず開けます。
つまり、アポイントを取るなら、相手のメリットを示す必要があります。
そのためには、あなたが売っている商品の本質を今すぐ見つける必要があります。
あなたが本質を見つけたとき、顧客のメリットも見つかります。
情けは人の為ならずって諺があるように。
8.人は何らかの得があるときに動く
商品である仏具が、何の為の仏具か、なぜ仏具が必要なのか、仏具に何ができるのか、その本質までを深く考察してみて下さい。「私が扱う商品によって、あなたは、商品の価格を上回る、これだけのメリットを手に入れられます。そのメリットを受取るかどうかの選択はあなたにお任せします。ただし受取った人は、こんなに喜んでいます」
と訴えかけてください。訴えかけるには、先ず、
相手を知る
ところから始めましょう。そして相手のメリットのみ訴求
しましょう。BtoBなら、一本の電話から永続的な取引
が始まります。これでアポイントは必ずとれます。営業アポイントには、商品によって、取り方があります。9.もしもアポイントが取れなかったら?
- あなたが売っているものは、電話アポイント戦術に向いているでしょうか?営業戦術を再検討してみて下さい。
- または、販売のために営業アポを取っているのか、チャネルを構築するためにアポイントを取っているのか、何のためにアポを取るのか明確にすることです。営業戦術は、営業アポイントが唯一の戦術にあらず。
- 商品に魅力が無くなってしまった可能性もあります。華々しくデビューした画期的な商品も、いつかは古びて、魅力は失われていきます。これではアポが取れません。アポより先に商品戦略を再構築することです。
「なぜ、アポイントなんですか?それ以外に、ありませんか?」と。
営業戦略に基づいて営業アポイントを採用している(会社の役割として、どんなプロモーションに基づき、営業マンにアポイントを取らせている)なら、答えてくれるでしょう。
ただし、叱られても、筆者は責任もてませんが(笑)ね