三大経営資源(ヒト・モノ・カネ)のうち、優先順位は、
カネ(資金)が第一
で、資金(カネ)さえあれば、売上や利益がなくても(手形や売掛金を回収していなくても)経営し続けられます。なので、社外の銀行や、株主が、経営に参画してきます。
経営は、資金が第一ですから、
- 決算書(BSやPL)の数字が、何よりも第一で、
- 銀行から融資を受けるにしても、数字が必要不可欠で、
- 経営相談の相手は、税理士が第一位で(中小企業長の統計)
経営の苦労は、カネの苦労
であり、その苦労を翻すと、経営の喜びは、カネの(資金が増える)喜びといっていいでしょう。
企業であれ、家庭であれ、カネさえあれば90%以上の問題は解決しますから、経営者の頭の中は、いつも、数字まみれで、
- 売上目標○○円を達成せよ
- 利益率○○%以上を堅持すべし
- 新規の顧客(新しい売り先)を増やせ
経営者「売上を増やせ」
↓
営業部長「商品を売ってこい」
↓
営業社員「買って下さい」
と、商品を売る営業戦略へ垂直落下します。
しかも、できるだけ早く売りたい。
早ければ早いほど売上も早く入ってくる
ため、一年先なんて話は鬼が笑います。先月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」
今月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」
来月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」
こうして、ほとんどの企業が、商品を売る営業戦略を布いています。カネが最優先ですから、類は友を呼び、
カネ(給料)が欲しい社員
が自然に集まります。夢を叶えるために(役者やプロボクサーのように)生活費を稼ぐために働くアルバイトと、正社員の区別がつかなくなり、カネを稼ぐための集団になります。
カネ(給料)が欲しい従業員は、法人の一員として業績を伸ばすためではなく、生活費を稼ぐために働きますから、社員(正規雇用)と、アルバイト(非正規雇用)の区別が無く、
事実上のアルバイトなのに、社員として雇用するリスク
を経営者が負います。事実上のアルバイトが、どうして経営意識で考えられるでしょう?カネ(売上)を増やすように命じる経営者と、カネ(給料)のために働く社員が集まっている企業ですから、
カネ(売上や給料)を増やすためにモノ(商品)を売る
企業になります。こうして、三大経営資源のヒト・モノ・カネを動かし、製品と雇用が基盤となる、高度経済成長を支えたメーカー型の経営戦略といっていいでしょう。
商品が優先すると、お客さんが求めている価値よりも、商品そのものに価値が生じ、セールスマンは、商品の説明から始めます。
請われているならば、説明しなければなりませんが、請われなくても説明するとしたら、そりゃぁ押し売りでしょう。
これこの通り、商品を売って、売上を増やそうとすると、お客さんは、二の次、三の次。
お金が第一、商品が第二、顧客そっちのけ
になります。こうして、顧客第一が空虚な題目に終わるわけです。